123 シシーさん
辺境の街で定宿にしている『月の灯り』に向かって歩いていると後ろから声を掛けられた。
直前まで気配を感じ取れなかったぞ!?さすがだな、まったく!溜息をつきつつ後ろを振り返る。
「リズちゃんお帰り!」
「ただいまシシーさん」
「フフッ、やーっと捕まった!!」
嬉しそうにリズの肩に腕を回してくるのは、『銀狼の牙』のメンバーの1人シシーさんだ。
シシーさんは金髪をポニーテールに結び蒼目をした犬族の女性だ。腰に差している2本の剣がトレードマークだ。つまり彼女は二刀流剣士と言う事だ。
「ちょっと私とお話しましょ!」
テンション高く話しかけてくる彼女に連れられて近くの居酒屋に入る。
久々の再会に頼んだエールを掲げて乾杯する。
「ゴクゴクゴクッ!ん~っ美味しい!!店員さんお代わり!!」
シシーさんは冷えたエールをアッという間に飲み干してお代わりを頼む。
リズはこれから始まるであろう話の内容にどちらだろうかと考える。もしくはどちらもか?
「でね、リズちゃん。うちのリーダーから伝言があるの?聞いてくれる?」
「嫌だと言っても話すでしょうに・・」
「まあそうなんだけどね」
シシーさんはニコニコしながら相槌を打つ。ほんっとーに食えない人だなっ!
「私たち今、巨人ゾーンの攻略に入っているの。でもちょっと厳しいのよねー。だから参加してくれない?」
「噂は聞いてますよ。トロールがいたとか」
「そうなのよ!あいつだけならそれほど脅威でもないんだけど、他も相手しながらだとちょっとね・・」
「そんなに魔物どもは多いんですか?」
「そうね、あそこ皆図体デカいでしょ?目立つから1体暴れだすと他のが寄って来るのよね。早めに倒すにしても確実に追加で1体は相手しなきゃならないわ。どこを通っても必ずどこかで見つかるのよね・・」
「なるほどね。それに加えてほとんど手つかずだったから魔物の数も多いわけだ」
「ほんっと面倒だわ!!」
そう言って追加のエールをゴクゴク飲み干す。
リズもエールを飲みながら考える。
「どう?参加してくれないかしら?」
「・・・条件がある」
「何々、出来るだけ呑むわ!あ、でもリザロを抑えるには限度があるわよ・・」
「そこは絶対です!じゃなくてっ!!」
「ん?何?リザロ以外の事?だったら問題ないと思うわよ?」
どれだけリザロは厄介なんだよ!?まあ分かってた事だが。
リズは諦めて話を続ける。
「リクを絶対参加させてください」
「リク?って誰?」
「私の友人です。ガロさんにはギルド長とササリばあから推薦があったはずですよ」
「へ~その2人から?」
シシーさんが興味深そうに聞いてくる。ギルド長は兎も角、ササリばあが推薦するなど珍しいからな。
「あいつがいるだけで遠征がグッと楽になるんですよ」
「そうなのね。推薦があるならそれなりに強いんでしょうし、ガロに伝えとくわ!さっ、面倒な話は終わりよ!飲みましょ!!」
そう言ってまたエールのお代わりを頼んでいる。
今日は帰れないかもしれないな・・
お読みいただきありがとうございました。




