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リーリンの花のように  作者: きみあきつき
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 メルを迎えに孤児院に向かう。

 本来なら俺もロイも休みだからメルも行かなくていいんだが、今はバザーに向けて色々する事があるらしくメルは毎日孤児院に通っている。

 とっても楽しそうにしている顔を見ると俺も嬉しいんだけど、ちょっとだけ寂しい。多分ロイもそう思っているはずだ。最初の頃はずっとロイにくっ付いて離れなかったしな。子供の成長って早いなー。


「こんにちはー。メルー迎えに来たぞー」


 あれ?誰も出てこないな?いつもならシスターか年長の子が出て来てくれるのに?

 暫く待っても誰も出てこないので裏庭に行ってみる事にした。

 お?話し声が聞こえる!皆庭の方に居たみたいだな。

 庭を覗くと皆で集まって何かしている。


「おーいメル!迎えに来たぞー」


 奥の方にメルを見つけて声を掛ける。

 今度は聞こえたらしく皆が見てくる。メルが走って来た。


「リクにい!あのね、いまね、いそがしいの!だからおとまりするの!」

「・・・・」

「まあまあ、リクさん。お迎えご苦労様です」

「シスター」

「しすたーメルおとまり!」

「あらメルちゃん。ダメよ!お迎え来てくれたでしょ!」

「むぅ~」


 メルはむっつりして皆の方に走って行ってしまった。


「こら、メルちゃん!すいませんねーリクさん」

「いえ・・」


 困った顔で謝ってくるシスターに返事をしてメルを追いかける事にする。

 メルはお友達のフィナちゃんの後ろに隠れていた。まあ、丸見えだけどね!


「メルー本当に帰らないのか?」

「・・かえんない」

「そっかー。折角バザーに出すおもちゃが出来上がったのにな・・」

「・・・・・」

「じゃあ今日はロイと一緒に遊ぶことにするよ!メルはまたね!」


 そう言って踵を返して歩き出す。


 どんっ!?衝撃が足に走った。下を見るとメルが足に抱き着いている。

 苦笑いしてメルを抱き上げる。メルの顔は相変わらずむっつりしている。本人なりの葛藤があったのだろう。笑ってはいけない。


 シスター達に別れを告げて歩き出す。


 明日メルを送ってきた時に孤児院用の達磨落としを渡すつもりだ。子供達が売り子もするそうなので遊び方を事前に知っておいた方がいいだろうと思ったからだ。犬と狐にしようかな?


 メルは悩みに悩んだ末、兎の達磨落としを選んでいた。一角兎の肉、大好物だもんね!

 ロイはメルが最後まで悩んでいた猫の達磨落としにしたようだ。流石お兄ちゃんだね!メルも喜んでいた。


 なお、達磨落としは孤児院の子供達にも大好評だった。




お読みいただきありがとうございました。

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