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単刀直入に言おう。私は転生した。転生先は前世で読んだ小説の中。
その小説はよくあるもので、前世で愛読していた小説に転生する所から始まり、悪役令嬢に転生する。そして、小説の中ではヒロインを虐めて追放されてしまう.....と言った感じ。そんな結末を変えるべく、主人公が頑張る話。でも、ヒロインの方も転生者でヒロインが悪役令嬢ポジで暴れちぎり、ヒロインが追放されて前世の推しと結婚すると言うよくある定番の話だった。
そんなよくある、ざまぁ物兼悪役令嬢物の小説に私は転生した。多分.........
と言うのも、私は前世で小説サイトで数多くのざまぁ物、悪役令嬢物を読み漁ったし、漫画アプリでは外国のざまぁ物の翻訳版も沢山読んだ。
そして.......頭の中でごちゃごちゃになっている。表紙かキャラの立ち絵を見れば思い出せるんだけど.........
取り敢えず、分かっているのはざまぁ物か悪役令嬢物に転生したって事。私の名前に聞き覚えがあるから。
「ネイお嬢様〜!どちらですか〜!!」
ただ良かったのは赤ちゃんからスタートではなかった事。本当に有難い。どこかの漫画アプリで赤ちゃんからスタートの話を読んだ気がする。前世では成人済みだったのにある日突然、赤ちゃんになった彼女の苦痛は計り知れないと思うから。
「ネイ様ーーーー!!!!!!!!」
そして、前世を思い出したのはつい先程。今、私は大きな木の上にいる。
どーすんだこれ。よくある展開ではメイドに見つかって怒られる。ただ、私は怒られるのが嫌い。まぁ、みんな嫌いだろうけど.........
隠れる?でも、見つかるよね。
よし、飛び降りて走るか!
何でかは分からないけど.........服装が男装令嬢の服っぽいヤツ。説明しなくても想像出来ると思う。アレです
「とりゃァァァ!
ア゛ア゛ア゛!!!」
木の上からノリと魂で飛び降りた。うん、着地の時に痛い........ジーンって来た。痛い.......遠くのメイドさん?に手当して貰いたい。
「あ!!ネイお嬢様!?授業をサボって何してたんですか!?」
あ、ヤッべ。これ、家庭教師の怖いオバサンの所に連れてかれて怒られるやつじゃんか。
前から思ってたんだけど、あの家庭教師のオバサンの雰囲気怖くない?私の想像の声が怖いだけ??
「すまん、バイバイ!!」
とりま、メイドさんの反対の方向に走っていった。足はまだ痺れている。