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最終話 闇の中の虚無へ再び…

「ははは・・・あははははははははは・・・・勝った。私は勝ったんだ!」 


思わず痛みに包まれながら笑いが漏れる。

だが笑わずにはいられない、この瞬間だけは何回味わおうとも…何回?


ティナは頭に浮かぶ不思議な感覚に違和感を覚えるが目の前の真っ青になった死神の姿を見て気持ちを切り替える。


「それじゃあさようなら死神さん素敵なプレゼントありがとうね」

「なっ?!」


そして、自信の内に宿った力を解き放つ、ティナの体が黒い霧となり浮かび上がるその光景に死神は目を疑った。

死神は理解したのだ。


「そ、そうか・・・あの短剣・・・」

「ご名答、アレは互いの心臓に刺せばその能力を交換できる『完魂相殺の短剣』よ。使えば互いの能力を交換できる代わりに二人共心臓を貫いてまもなく死ぬ呪いの武具、だから・・・」


カランッと短剣が床に落ちる、黒い霧と化したティナの胸元の傷は霧が集まり修復される…

傷が無くなったのを確認したティナは目の前に時計の様な物を表示させる。

それは死神が世界を管理する時に使用する世界の寿命を知らせる時計。

それを出現させたと言うことは死神の全能力がティナに渡ったという事である。

ティナはそれを見て再び感じた違和感に一瞬戸惑う、だが時は待ってはくれない。

残り時間をもうこれが見れない死神へ伝える。


「残り5分、それが死神さんの寿命よ。楽しんでね、それじゃあバイバイ」

「ま、待て?!待ってくれ?!」


死神の慌てる顔が愉快であったがこのままこの世界に留まってれば自身も世界と共に消滅してしまう。

最後にチラリと魔王マナの遺体を見てティナは転移系の力を使用する。

そうしてティナは闇の中へ消えてこの世界を去った。


後に残されたのは心臓に短剣が刺さった状態の死神が一人最後まで何か助かる方法が無いか調べるために自身のステータスを調べ始めた。


「ステータスオープン!」


残り4分となった世界で死神は必死に自らのステータスを目にして目を見開いた。

そして、全てを悟って笑い出した。


「ははは・・・なんて事だ。そう言うことだったのか・・・全て計画通りだったというわけか・・・くくく・・・あーはっはっはっはっはっ!!!」


死神はティナと全ての能力を交換しており自身のステータス内に在る一つのスキルに気付いて全てを悟ったのだ。

それは『死亡遊戯』のスキルであった。


死亡遊戯:他者の命を奪うことに対して感じる全ての感情を快楽と変えて他者の命を奪うことを躊躇しなくなるスキル


それは自分が与えた以外のスキルの存在、これを与えられるのは死神しか居なかった。


(全ては掌の上だったと言うわけですか、これでは私はまるで道化ではないですか!)


大量の死体が転がるその部屋で全てを理解した死神は最後のその瞬間まで笑い続けた。

口から血を吐こうが気にもせずに自らの最後を看取る人も居ない状況の中で死を司る死神はそれを受け入れるのであった。









闇よりもなお暗い虚無の世界にティナは浮かんでいた。

あれほど恐れた無の中に包まれ何も考えず少女は自身の記憶を消そうと試みる…

だが…


「うっ…うぇぇぇぇ…」


忘れようとすればするほど自身が行った行為を思い出し絶望し吐き気をもよおしていた。

なにより幻影とはいえ自身に好意を持ってくれていた魔王マナを欺き死体を喰わせて贄とした事への罪悪感、様々な人々への死への誘導…

あの世界に居た時はスキル『死亡遊戯』の力により抑えられていた感情が一気に彼女に襲い掛かっていた。

それと同時にやって来る今まで感じていた違和感。


「なん…なのよ…この感じは…」


まるで過去に今起こっている事を体験したような感覚に今のティナは拭えない不快感を覚える。

そして、ティナはその声を聞くのであった。


『おかえりなさい、今度こそ満足の行く結末を迎えれましたか?』


その声を聞いて私は理解した。

そうだ…私は…


『最後のやり直しでしたが世界を変えると言う願いは叶えられた様で何よりですね』


知っている、この声と共に急速に意識が薄れていくこの感覚…


『しかし、本当に人ってのは面白いですね。まさか私達の領域にまで干渉できるようになるなんて』


闇に溶け出すように体から死神の力が消えていく…

嫌だ!私はあの世界へ帰りたいんだ!


『それは無理ですよ、でもそうですね…私を楽しませてくれたのですからまた頑張って記憶を消して世界を変えたいと願った際は転生させてあげますよ』


待って。行かないで……ダメ、こんな暗い、目も見えない空間に1人にしないで、こわい。やだ、なにもかも嫌だ。


それは過去の自分が叫んだ言葉。

そして私は闇の中へ溶けて全ての記憶を消すのを目標に考えるのを止めるのであった。


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


『どうでしたか? 私の転生させた女の子の新しい結末は。あの子はまた転生するでしょう。今も再び必死に記憶を消そうとしているみたいですしね』


『えっ? なんで私は消えてないのかですって?』


『それは消えたのが私のお気に入りであるあの子に手を出した別の死神だからですよ。私が手を下しても良かったのですが暇つぶしにもってこいでしたし、何よりあの死神は邪魔だったのですよ』


『彼女には合計10回のやり直しの機会を与えましたが人と言う四次元、即ち縦、横、奥、時間に存在する生命である以上過去に記憶を持って行くことは出来ないのですがね。記憶ではなく知識としてそれを使って過去改変を人の手で行ったのには驚かされましたよ』


『また私のお気に入りと言うことであの子に手を出す別の死神が居るかもしれませんね。それはそれで楽しみですよ』


『あの子の頭をちょこーっといじってパニックになりやすくした筈なのにそれすらも受け入れていますからね。やっぱり人って面白いじゃないですか。気まぐれで干渉した過去の自分を誉めたいくらいですよ』


『それでは、時間が来たようなので私はこの辺で失礼致します。私も暇では無いのでね、この世界の魂で新しい世界に命を巻いてくるとします』


『その世界がまたあの子の転生先になれば楽しそうですからね、前にも言いましたが私達死神はいつでも楽しいことを求めてますから!』


『ではではまたいつか機会があればお会いしましょう。SeeYou!』


そして死神は消え、辺りは暗く包まれた。









トクン…


ティナだったモノの中に宿った一つの何か…

魔王マナの魔力を使って使用された完魂相殺の短剣を通じてティナの中へ流れ込んでいたそれに死神は気付かなかった…



完

これにて完結となります。

年末進行の多忙の中なのにも関わらず連載を開始しましたが急ぎ足になりつつも無事に完結できて良かったです。

原作者のねぎとろ様、作品使用の許可を下さいまして本当にありがとうございました。

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