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14- ──帰国──
2091.09.01 Sat. 12:16 CEST
小さめの黒のキャリーケースを引きながら、シンはゆっくりとした足取りで空港入口から中に進んでいく。
入ってすぐにキャリボがシンの目の前にやってきた。シンは荷物を預けるとすぐ傍にあるベンチに座り、視界に浮かぶ画面で世界各地に向かう飛行機の搭乗時刻の一覧を眺める。
「夏休みも、もう終わりかよ……。まだ行けなかった国があったんだけど……。高校か……ハァ。まあ、一応いっとくべきか、いや、どうしよっかな……でも母さんとの約束もあるし、行っとくか」
シンは仕方なさそうにそう溜息をつき、日本に向かう飛行機の搭乗ゲートに進んでいく。




