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魔王が紡いだ御伽噺(フェアリーテイル) ~avenger編~  作者: シオン
~avenger編~ 第三章「黄の堕天使」
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第四話『Misstrauen Mädchen』

 いつもは暖かい日の光が差し込む学校の屋上。

 だが今は他の音が聞こえなくなるほどの豪雨が降り注ぐ真夜中だ。

 しかし彼女にとって、豪雨すらも恵みの水となる。

 傘も差さずに一身に豪雨を受け止め、髪のキューティクルは止めどなく輝き、肌の調子は絶好調。

 その姿こそまさに海の女神。水と言う水すべてを操る水の頂きだった。


「……アクアス、本当に本当なの?」


『こんなことで嘘ついて何が面白いの』


 雨に打たれているのにも関わらず、服は一切湿っておらず、低気圧なのに生き生きしている。

 だがその表情は深刻そのもので、漆黒に染まった空から視線を外すことはない。


「何を考えてるの……魔界に行くだなんて……」


『でも実際黒音さんは開戦の空には現れなかったし、家に言っても誰もいなかったじゃんか』


「確かに、転移魔方陣の術式が書かれた紙がフローリングに敷かれていたけど……」


 ファックスの用紙を六枚ほど並べて、そこに別の世界へと転送する為の術式が書かれていた。

 黒音のパートナーはアズで、魔界以外に目的地は考えられない。


「そんな所じゃ、何かあっても私達が手出し出来ないじゃない……」


『仮に魔界に行けたとしても、別の種族が進軍してきたと思って攻撃されるよ』


「……ところで……どうしてアンタが背後にいるのかしら?」


「へ、うそっ!? この距離で感知出来るの!?」


 屋上から十数メートル離れて海里華の様子を見守っていた焔が、ぎょっとして声をあげる。

 さしものウリエルも驚きを隠せなかったようで、焔を支えていた二枚の翼が一瞬真っ赤な炎に包まれた。


「今ならアンタにも勝てるわ。雨が降っている時点で、すべては私の領域(テリトリー)よ」


 ましてや焔は炎属性の天使だ。

 海里華が頭の中で想像するだけで、焔は雨と言う槍に串刺しにされる。


「そんなことより、こんな時間に何のよう?」


「私は開戦の空に行っても誰もいなかったから、暇になっちゃってね」


 黒音は魔界に、漓斗と死神の少女は行方不明。

 梓乃はすでに家でペットの犬といるし、焔と海里華はここにいる。

 つまり開戦初日のメンバーはすべて欠席していると言うことになるのだ。


「他の契約者、四大チームのメンバーは誰もいなかったの?」


「誰一人としてね。今日が初めてのスカよ」


 雨に濡れた屋上に降り立った天使、焔は傘を開いて屋上のフェンスにもたれかかった。


「聞いたわよ。黒音君が魔界に行ったんだって?」


「確証はないけど、多分ね。ほんと、何を考えてるのかしら……」


「魔界に行かれると女神と天使は手が出せないわ。唯一手が出せる女神は闇属性に関係する女神だけ。天使はもう完璧アウトよ」


 天使は悪魔とは正反対で、六種族と一括りにはされているが、存在理由も使命も願いも、何もかもが違う。

 女神は比較的天使寄りだが、稀に闇属性の概念を持った女神がいる。

 そんな女神ならば魔界に行っても問題はなさそうだが、海里華は海の女神。

 どう考えても天使寄りだ。


「まあでも、多分大丈夫よ」


「何よその欠片も信用出来ない言い方は……」


「だってあの黒音君よ? 神機に踊らされて街一つを沈めかけた貴女を救い出して、リミットブレイクまで引き出して梓乃を救い出して、この私と互角に渡り合ったのよ? そんな黒音君が、魔界で野垂れ死ぬと思う?」


「……それもそうね。アイツなら笑って帰ってきそうだわ」


 魔界には化け物がうじょうじょいると聞いたことがあるが、魔界にいる化け物と黒音の化け物っぷりを比較すると、心配している自分がバカらしくなる。


「このままじゃ追い抜かれそうだわ……行くわよウリエル、ラヴル(・・・)を完成させなきゃ」


『畏まりました、マスター』


「ねえ焔、ラヴルって何なの?」


「ん、そーね……じゃあ──蒼獅子(・・・)、とだけ言っておくわ。ばいばーい♪」


 ラボーテに乗って豪雨の夜空を駆ける焔を、海里華は何をしに来たのか、と呆れながら見送った。


「蒼き獅子、ね……アクアス、行くわよ」


『おうちに帰るの?』


「ええ、調べたいことがあるの。生物系の神機について」


 黒音のように無茶苦茶なまでの戦闘力は持っていないが、黒音には出来ないことが、私には出来る。

 海里華は水中に沈んでいくように、思考と記憶の海に身を投じた。


「わふぅ! ロウってば、くすぐったいよぉ♪」


 平日の昼間、梓乃は一人、厳密には二人と二匹がキッチンに集まり、昼食の用意をしていた。

 頬にはガーゼ、腕や足、胴体には包帯とコルセット。

 病室を抜け出してきた重病の病人のような姿の梓乃は、ご飯が待ちきれずに胸に飛び込んできたロウを全身で受け止めた。


『本当に、無茶をしましたね』


「えへへ……でも生きてるもん! 負けちゃったけど、次は勝つからね!」


 勿論、確証のない発言ではない。

 本当に次は勝てると言う確証と証拠を持っているのだ。


「ねえセリュー、私達ってさ、同時に戦ったことってないよね?」


『それは、そうですね……今平然と話していますが、これでも私は貴女と異なるもう一つの人格ですから』


「もしそれが、二人同時に力を使えるようになったら、どうかな?」


『……もはや、負ける確率を割り出すことの方が難しそうですね』


 セリューが梓乃のように、ドラゴンソウルを発揮したことはない。

 出来ないと言うより、しないのだ。

 ただでさえ通常形態で梓乃の戦闘力を大きく上回っていると言うのに、ドラゴンソウルまで発揮してしまったらどうなるのか。

 そしてドラゴンソウルをした二体のドラゴンの戦闘力を総計すると、もはや想像すら出来ない。


「でしょでしょ? それが〈十二宮神機ゾディアック・ベッセル〉の力で出来るんだよ。あれは一つを二つに、二つを一つにする力があるの」


 ──十二宮神機。

 神が造りたもうた神話の産物の中でも、最高位の性能を持つ十二個の神機のことを指す。

 その性能ゆえに古い時代の契約者は、その情報を漏らさぬように厳重な封印と情報操作を行ったと言われる。

 現代で封印が解かれている〈十二宮神機〉はたったの三つ。

 乙女座と蠍座、そして獅子座だ。

 どの神機よりも前に創造され、どの神機よりも高い性能を持つ十二個の神機は、使い手を自ら選ぶ。

 本来の神機は使おうとした契約者を拒んだり認めたりすることで選ぶが、〈十二宮神機〉は自ら使い手の所へ赴くのだ。

 それこそ契約者としての、人としての器が試される。


『あれ、とはもしや……双子座のことですか?』


「うん。噂じゃね、物体とかを二つに分ける力があるんだって。でもそのうちの一つはコピーじゃなくて、どっちも本物なんだって」


『なるほど、仮に片方が潰されても、どちらもが本物だから問題はないと言うことか』


「簡単に言うとね。あともう一つの力は二つを一つにする力だよ。だからもし私とセリューが二人に分離してドラゴンソウルを発動する。そしてまたくっつけば?」


『二つのドラゴンソウルの力を総合的に使える……!』


「それに二人に分けたまま戦うことも出来るしね」


 想像は膨らむばかり。二人にとって力を同時に使うことと、その力を合わせることは最大の目標と言える。

 しかし双子座の〈十二宮神機〉の封印が解かれたと言う噂は聞かない。


「はあ……場所と封印の解除法さえ分かればなあ……」


『それが簡単にわかってしまえば、レアリティもへったくれもありません』


「そーだよねえ……」


『ならば、焔に聞けばいいではないか。あの子ならば様々な所から情報を集めてくれるだろう』


「そっか! じゃあ今から──」


 クローゼットのある二階の自室に向かおうとした直前、窓ガラスに写り込んだ自分の姿を見た梓乃は、ロウと一緒にフローリングへ寝転がった。


「わうぅ……むずがゆいよぉ……」


『フェンリルと一体化すればいいでしょう。正直言って私も待ちきれません』


「そだよね! よし、行ってみよう!」


 本当は最初からその気だったのだろう。

 梓乃は犬の着ぐるみパジャマを脱ぎ捨てると、二階にあるクローゼットへかけ上がった。


『にしても、暗いね……』


 ドラゴンの姿になって怪我など知ったことかと言う勢いで空を駆け回るも、雨がやんでも雲は晴れない心配な空模様。

 梓乃は焔のマンションを目指した。


「ふぁ……ぅ……眠い……ダルい……」


「今日は私の邸とあの方の邸の中間地点に位置する大気汚染の浅い場所を目指すわよ」


 アズの凱旋パーティーと、それを抜け出してひそかに特訓していた黒音。

 寝不足に加えて昨日の疲労が残っており、黒音の目の下にはその跡が色濃く現れている。


「じゃあついに変身するんだな?」


「ええ、黒音が大気汚染の影響を受けずに動くにはそれしか方法がないから」


「でも昨日は息苦しくもなんともなかったぞ?」


「私の邸を中心に、エーリューズニルの門までが大気汚染の浅い半径なのよ」


「だからそこには行くなってことなのか」


「それだけじゃないわ。エーリューズニルの門自体が危険なのよ。あそこは粉うことなき地獄への門。一度は入れば二度と戻ることは出来ない……」


 その門に入ってその地獄の支配者と優雅にティータイムをしたことは、言わない方がよいのだろうか。

 黒音はリュックの中に詰めた食糧やその他のものを確認すると、ザンナとサンティを連れてアズとともに邸を後にした。


「黒音、荷物は私が持つ……」


「主は自分の戦闘に集中してくれないとね」


「悪いな二人とも。じゃあアズ、行くぞ」


「ええ、任せて。この姿では初めてね」


 アズの手をとり、黒音はいつも通りに魔力を練る。

 だがその瞬間、樹木はざわめき、地面は怯えたように震え、小石が重力に逆らって浮き始めた。

 一瞬にして黒音の魔力が最高値に達すると、黒音とアズの姿が融合した。


「きゃうっ……凄い、魔力ッ……」


「何なの、これ……いくら魔界に来てアスタロトが全開の状態だからってッ……」


 ザンナとサンティは自らの顔をかばい、腕の隙間から細目で二人の様子を見守る。

 全身に迸る紫電が甲冑の結合部を描き、それを元に黒い甲冑が浮き上がってくる。

 全体的に無駄がなくなり、高い機動性と防御力を両立させたような漆黒の鎧が黒音を包み込んだ。

 黒く染まった天使の羽のような翼を、計四枚背中に広げている。

 左腕には五角形の大きな盾を、右手には三日月のような刃をつけた巨大な斧を、あらかじめ装備していた。


「──ふぅ……これが、本来のお前の姿なんだな」


『……本来の力を三倍くらいにした姿、かしらね』


 あまりに強大すぎる魔力が重圧となり、地面を震わせている。

 神機でもない武器に、ここまでの殺気と存在感はあり得ない。

 すべてにおいて、人間界のステータスとは別次元だった。


「なあ、ふと思ったんだが、今なら騎士のとこまで直行出来るんじゃないか?」


『それもそうね。どうせ直談判するんだし、泊まり込みってのもありね。それで行きましょう』


「よし来た。ザンナ、サンティ、武器になれ。騎士のとこまで特急便だ」


 鞘に収まったダーインスレイヴを腰に下げ、アイギスは右手に持つ。

 戦斧を左手に持ち帰ると、黒音は完全武装の状態でアズのナビの元、とてつもないスピードで魔界の森を突き抜けた。


「あ、確かに……昨日よりは呼吸が楽だな」


『邸の中はまったくないけれど、周辺は薄く大気汚染に晒されているの。一応致死量ではないけれど、まったくの無害ではないから慎んでほしかったわ』


「わ、悪かったよ……でもな、最近限界を感じ始めてたんだよ。だから何とかして強くなりたくてな……」


 本来ならば序列が二十九位と、とてつもない力を持ったアズなのだが、何故か女神一人に一週間の負傷を負わされ、天使と互角に止まり、ドラゴン相手にリミットブレイクの力を借りなくては手も足も出なかった。

 明らかにアズの本来の力を出し切れていないのだ。

 今日初めて、アズの力を最大限、或いはそれ以上に発揮することが出来た。


『バカ……例え貴方が弱くなっても、私のパートナーは生涯絶対に貴方だけよ』


「ああ、そうだな……でも尚更、お前の生涯に出来るだけ添えるように強くなくちゃいけないんだ。俺はこれからも危険なことをするし、お前だけじゃなくて海里華達にも心配をかけることになる」


『つまり私は貴方のブレーキになるんじゃなくて、アクセルにならなくちゃいけないのね』


「そう言うことだ。よし、飛ばすぞ!」


 アズは呆れを通り越して──そして思った。

 爵位を手に入れたばかりの頃の自分は、果たして自分自身にブレーキをかけれていたか、と。


「くしゅんっ……わふぅ……寒い……でも着いたぁ」


 肩を抱きながら寒さに耐え、焔のマンションを訪れた梓乃。

 セリューが龍力を燃やして体を暖めてくれている中、梓乃はインターホンを押した。


「ほむちゃーん、遊びに来たよ!」


 しかししばらく待っても反応は帰ってこない。

 焔は活発な方で、放課後や休日は絶対に夜遅くまで家には帰らない。

 だが雨の日は火属性の契約者にとって地獄でしかない。

 いくら焔でも家でおとなしくしているものだと思ったが、どうやら焔の活発性は雨でどうにかなるものではないらしい。


「わうぅ……ココアでも飲ませてもらおうかと思ってたのにぃ……」


『だったら、その人が行きそうな場所を探してみては?』


「そだね、ほむちゃんが一人で行きそうな場所と言えば……人気の少ない昼寝スポット……こんな雨の日だから──まさかっ……」


 再びドラゴンの姿に変身した梓乃は、今度はドラゴンソウルを発揮して本気の姿で目的の場所へ飛んだ。

 大切な戦闘以外では滅多に使わないドラゴンソウルを使ったと言うことは、梓乃は焔から何かを感知したようだ。


『どうしたんです梓乃? まさかその人に何かあったのですか?』


「ほむちゃんに限って誰かにやられるなんてことはないだろうし、でも雨の日だから……でもでも、もしかしたら、ほむちゃん凄いことしてるかも……!」


 梓乃の言っている凄いことはフェンリルとセリューの二人には理解出来なかったが、梓乃は一人深刻そうな面持ちでスピードの為に龍力を注いだ。

 やがて十分前後の高速移動で到着したのは、街から少しだけ離れた線路下のトンネル。

 そこは前に焔が連れて来てくれた道しるべだ。

 梓乃の家から焔のマンションまで迷わずに近道する為には、この線路下を潜るのが一番早い。

 そして何より、焔と梓乃だけが知っていて、雨の日で人通りが途絶えた場所と言えば、ここしか思いつかなかった。


「やっぱり、ほむちゃ──」


 声をかけようとしたが、寸前で言葉を飲み込む。

 目の前にいた焔が、あまりにも必死な形相だったから。


「ラヴル、まだまだよ……まだ完全に力を使いこなせてないわ……っ」


 全身傷だらけで、聖力など微塵も残っておらず、生きているのが不思議なほどの姿でしかし、焔は自分の目の前にいる一匹の生物に向かって語りかける。

 そこにいたのは蒼い炎のたてがみをした獅子。

 両肩から蒼い炎を吹き出しており、炎自体が尻尾の形をしている。

 その異質な存在感が、梓乃の頭にサイレンとなって鳴り響いている。

 あれは危険だと。


「行くわよラヴル……〈次元転送ディメンション・オペレート〉──発動!!」


 焔がそう命じると、目の前にいる蒼い獅子が大きく吠え猛る。

 すると一体何が起こったのか、回りの音が聞こえなくなるほどの豪雨が一瞬にして、制止したのだ。

 そしてまるで重力が真逆になったかのように、豪雨が空へと引き上げられる。


「くっ、あっ……がぁッ!!」


 しかしすぐに耐えきれなくなった焔が、苦痛に顔を歪ませて線路下のトンネルに身を投げ出した。


「ほむちゃんっ!」


 我に返った梓乃は、目の前で倒れる親友へと駆けつける。


「ほむちゃん、大丈夫!?」


「あら、梓乃じゃない……いつから、いたの……?」


「今来たばっかりだよ……ほむちゃんならここを通るかなって思って、そしたらこんなになってて……」


「情け、ないわね……もっと私が強ければ、あの子の力を……使いこなせるのに……」


 先ほどまでいた蒼い炎を放つ獅子は嘘のように消失しており、代わりに蒼い宝石がはめ込まれたイヤリングが落ちていた。


「これ、なの?」


「ええ……今はイヤリングの姿をしてるけど……その子も、神機なのよ……」


「ふぇ、じゃあさっきのって──」


 まさか、そんなことがあり得るのか。

 梓乃は自分の手に収まる蒼いイヤリングを眺め、生唾をのみ込んだ。


「今の、技って……」


「梓乃は……〈次元歪曲ディメンション・フォース〉は知ってる……?」


「わう、確か〈真実の幻〉が使う技だよね」


「これはそれの上位互換よ……名は〈次元転送〉……〈次元歪曲〉が不安定で練度を上げないと危険なのに対して〈次元転送〉は次元の狭間をさ迷うと言うリスクがないの……そして何より……開ける次元に制限がない……」


 〈次元歪曲〉は行きたい場所を想像し、そこへ繋がる扉を頭でイメージする。

 そして今いる場所と行きたい場所を繋ぐ扉をイメージすることで、現在地と目的地の間に存在する距離を引き裂いて縮める。

 〈次元転送〉は縮められる距離に制限はなく、一度に開ける次元の数も使用者の力に依存するが、際限はない。

 〈次元歪曲〉は次元を切断して次元の狭間に入り、出口へと向かうと言う小さな光を目指して樹海を渡り歩くようなものだが、〈次元転送〉はその名の通り使用者を目的地の場所まで転送する。

 現在地の次元と目的地の次元をトンネルで繋ぐのだ。

 だから迷うことはあり得ないし、目的地の次元が開くのは使用者がそこに到着した時。

 つまり到着場所を見分けられることがない。


「で、でも何でそんな技をほむちゃんが……」


「ごめんなさい……梓乃、貴方は黒音君の仲間でしょ……? 黒音君との決着をつけるまで……これ以上情報を漏らすことは出来ないわ……」


 焦点の合っていない瞳を動かし、梓乃の手に収まる蒼いイヤリングを受け取ると、焔はおぼつかない足取りのままラボーテの背中に乗った。


「一つだけ、教えてあげる。私の使う神機はすべての神機の頂点に君臨する。生半可な戦力じゃ勝てないわよ」


 ラボーテを含めた全体が高熱の炎に包まれると、焔とラボーテの姿は跡形もなく焼失していた。


「ほむちゃん、炎に包まれてからの転移速度があり得ないくらい早い……」


 火属性の転移術式は他の転移術式よりも少し遅くなる。

 熱を一定まで高めないといけないと言うルールがあるからだ。

 だが焔が一瞬にして今いた場所から転移した。

 これがまだ発展途中の〈次元転送〉だとすれば、このことをすぐに伝えなくてはならない。


「って、黒音君なら伝える必要はないかな……」


 警戒する所か、喜んで立ち向かうに決まっている。

 それにいくら黒音の仲間だからと言って、この戦いだけは邪魔してはいけない気がする。

 天使と悪魔。白騎士と黒騎士。活発で交友的な焔と冷静で一匹狼な黒音。

 一見正反対な二人に唯一共通する所は、すべての戦闘にすべてを懸ける純粋な闘争心だ。


「どうしよ、黒音君が危ないってのに、楽しみになってきちゃった……」


『奇遇ですね。私も今の方と未愛 黒音の決闘が待ち遠しくなりました』


『契約者の性だ。狂っていると取れるほどの欲望と命を削り合う殺し合いが契約者のすべてだ』


「はぁあ……結局聞けなかったな……双子座の情報……」


 梓乃は消耗の激しいドラゴンソウルを解くと、雨に打たれながら帰り道をとぼとぼと歩いていった。


「ふぅ……何かとんでもなくトラブったが、棚からぼたもちってやつか」


『黒音、棚からぼたもちって言うのは労せずに何かを得ることよ。黒音は十分労したでしょう?』


「あんなの苦労には満たないさ。さ、とっとと騎士のとこに向かうぜ」


 後ろから巨大な虎のような魔獣に見送られながら、黒音はアズのナビに従った。

 そろそろアズが中継ポイントに選んでいた地点に入る。

 軽自動車のスピードとは比にならない、スポーツカーのようなスピードだったので、食料を食べることも休憩することもなかった。


「ここは大気汚染が浅い場所なんだよな。なら変身を解除しても問題ないな」


『魔獣に襲われても知らないわよ?』


「……それもそうか。やっぱこのままで──いや、だったらフィディを呼べばいいだけか。空も飛べるし索敵のセンスで言えば俺らの中で随一だからな」


(想像を越える力を手にしていても決して慢心をしていないわね。そしてカマをかけられてもちゃんと状況判断が出来てる。やっぱり私のパートナーは文句なしね)


 人間の姿で呼び出されたフィディは、銀髪に指を通して黒音の傍らに備えた。


「敵の反応が近づいたら教えてくれ」


 リュックの中のレジャーシートを敷くと、黒音は弁当箱を広げて魔方陣を展開した。

 その魔方陣からひょっこりと顔を出したザンナの口に、チョコレートを一欠片放り込んでやる。


「んん……甘い……♪」


『ほんと、ザンナは雛鳥みたいね』


 魔方陣を通して、サンティの声が聞こえる。

 黒音が展開した魔方陣は、普段神機が待機する別の次元と今いる次元を繋ぐ一種の〈次元歪曲〉のようなものだ。


「まだ明るいとは言え、流石は魔界。朝なんだろうが夕方みたいな暗さだな」


「基本的に悪魔は日差しを嫌うから」


 パーティの残り物の鶏肉をかぶりつつ、黒音は辺りに自分達以外がいないことを確認する。

 フィディを上空に配置していても、感知出来ない敵なども存在する。

 黒音は十分に警戒を行った後、座禅を組んで瞳を閉じた。


「黒音、何が始まるの……?」


「ザンナ、静かに……どうやら始めるみたい……」


 集中力を高め、どこから敵が襲ってくるかも分からないと言う状況に緊張感を抱く。

 肌がピリピリするほどに集中力を高めると、黒音は"心の眼"を開いた。


「……無音だとかなりの確率で心眼が開ける……でも教室の中みたいな騒がしい場所だとすぐに集中力が切れる……」


「それでも心眼を開けるまでの時間が短くなってきたわ。それに、無音と言う条件下の中で貴方は相当な高確率で心眼を開ける」


 森の様子やアズの輪郭、遥か上空にいるフィディの羽音までもが鮮明に感じ取れる。

 雪花に授けてもらった心眼をより完全なものへとする為には、無駄な音を遮る術式が必要だ。

 だがいずれはそれがなくとも、心眼を開けるようにならなくてはならない。


「……よし、行くか」


 心眼を閉ざした黒音は再びアズと一体化し、上空のフィディを呼び戻した。

 夜になれば魔獣が活発になる。

 ただでさえ薄暗いのに、夜になってしまうともう行動することは出来ない。


「あとどれくらいだ?」


『このスピードならもうすぐよ。中継ポイントと言ってもあの方の邸寄りだから。中継ポイントに来ればもう六、七割方進んでいるわ』


「まだ三十分経ったか経ってないかってくらいなのに、結構近いんだな」


(……公爵と騎士の邸の距離は東京から大阪までの距離くらいある。だから邸から邸の移動手段として魔方陣が用いられるのに……新幹線でも二時間半以上かかる距離を貴方はたったの一時間弱で到着しようとしているのよ……?)


 これほどの長時間、トップスピードを維持したまま飛行を続けるのはほぼ不可能だ。

 どれだけ魔力があっても、体が負荷に耐えきれないからだ。

 しかし黒音は全くと言ってもいいほどダメージを受けていない。

 甲冑を纏っているおかげなのか、だが人間界でのトップスピードとは別格だと言うことには、変わりない。

 何故ならば、今は空気抵抗のせいで本当のスピードを出しきれていないからだ。


「何か、変な魔力を感じるぞ……まるで、俺達を近づけさせまいとするような、拒絶反応だ……」


「それが転移魔方陣を使わなかった理由よ。そろそろあの方の邸の敷地内ね」


 いよいよご対面と言うわけだ。

 黒音は飛ぶことをやめて地面に足をつけると、変な魔力の方向へ向かって歩き出した。


「いい黒音、あの人は魔界一の博識だけれど、本来は誰にも干渉しない雪花さんみたいな方よ」


「ああ、そう言えばその悪魔の名前を聞いてなかったな。何て言うんだ?」


「彼女の名はフォルカス。悪魔の中では相当な古株よ。何度も言うようだけれど、くれぐれも失礼のないようにね」


 低飛行のフィディに乗り、敷地内の中心、フォルカスの屋敷を目指す。

 やがて数分ほどフィディを走らせていると、東京ドームほどの大きさをした屋敷が見えてきた。

 間違いなく、あれこそがフォルカスの邸だ。


「ここか……にしてもでけえな」


「でも敷地の広さは爵位の上下で決められるのよ?」


「ってことは、お前みたいな上から二番目の爵位は……」


「ええ、だからエーリューズニルの門までが敷地内って言うのは凄いことなのよ」


 フィディを魔方陣の中に返すと、黒音は玄関の前に立った。

 ライオンの顔をしたドアノッカーで扉を叩くと、暫くして微かに気配が近づいてきた。


「誰なの? 私の所に訪ねてくる変わり者は?」


 重厚な扉を開けて出てきたのは、白い髪の少女。

 黒音と同い年くらいか、人間界にいるアズよりちょっと大人だ。

 右目に黒縁のモノクルをかけている。

 モノクルのレンズを通した右目が黄色いのに対し、左目は青い。

 袖を通さずに羽織った白衣の下には、何故かスクール水着をまとっている。

 テーマがちぐはぐすぎる彼女は、計量カップをコップ代わりにしてお茶を飲んでいた。


「アスタロト公、貴女が来るなんて。どうしたの?」


「少し教えてもらいたいことがあってね。今日は私のパートナーとともに来たわ」


「まさか貴女が人間を連れて来るなんてね。アスタロトのパートナーなら歓迎よ。散らかってるけど好きな所でくつろいで」


 色々とツッコミ所は満載だが、もう手に負えないレベルになってきたので、黒音はよほど重要なことでない限りはスルーすることにした。


「アンタがフォルカスさんか?」


「ええ、私がソロモン七十二柱の序列五十番、老騎士のフォルカスよ。まあ、若さも力も、アスタロト公にはとても敵わないけど」


 二人に出されたお茶は、計量カップではなく日本製の土器のようなものだった。

 アズは見とれるほど美しい手付きでそれを持ち上げると、淑女そのものの上品な笑みを見せた。


「またまた、お上手。貴女の博識っぷりには誰も敵わないと言うのに」


 いい加減に違和感がありすぎて耐えられなくなってきた。

 まず魔界一の博識と言うことで白衣は予想していたが、何故その下がスクール水着なのか。

 何故計量カップでお茶を飲んでいるのか、そしてアズの精神年齢が跳ね上がりすぎていることも。

 ここまで違和感が重なると、いい加減スルーも難しくなってくる。


「ねえ貴方、アスタロト公は本来なら私は跪いて頭を垂れなければいけないほどに高貴な方なのよ?」


「その割には、初対面の時は散々なこと言って追い返したらしいじゃねえか?」


「その話はしないで。思い出しただけで肝が縮むから」


「あの時は私も若かったのよ。序列こそ上だけれど、経て来た年数や経験からすれば、序列はまったく逆だから」


 ジョークを交えた会話で少し場が和んだように見えたが、それは社交的な会話にすぎない。

 黒音はお茶には一切手をつけず、無機質な双眸をフォルカスに向けた。


「フォルカスさん、アンタに頼みごとがあって来た。そろそろ本題に入ろうぜ」


「序列が二十位以上も下の私に頼みごとなんて、話だけは聞くわ」


「簡単なことだよ。邪魔な雑音だけをシャットアウトして、必要な音だけを聞き取れる魔術の有無だ」


「……は? わざわざアスタロト公が直々に顔を見せたから何かと思えば、耳栓程度の魔術を聞きに来たの?」


「その耳栓程度の魔術が後々リミットブレイクに繋がるんだよ」


 リミットブレイクと言う言葉を耳にした瞬間、フォルカスは空になった計量カップを、資料などが散らばった机の上に静かにおいた。


「アスタロト公、少し聞いてもいい?」


「ええ、何なりと」


「そこの青年に才能はあるの?」


「四大チームの契約者を下し、そこのリーダー格と互角に渡り合うくらいには」


「嘘……四大チームの面々と対等に渡り合うなんて……」


 四大チームの噂は魔界にまで響いているのか。

 黒音は初めて四大チームの一角に挑むと言うことに危機感を覚えた。


「なら、そこの青年は努力をしているの?」


「黄金の英雄と羅刹の英雄に認められるくらいには」


「な、あの〈Heretic〉の元英雄を二人も認めさせたと……!?」


 流石は英雄と言うことだ。

 契約者の常識を変え、六種族の運命さえも変えた革命の風。


「な、ならこれが最後よ。青年の願いはアスタロト公、貴女が叶えるに値するの?」


 フォルカスの最後の問いに、アズは自信満々に答えた。


「愚問よ。なにせ彼の願いは、魔王討伐なのだから」


「才能があり、努力もしている上、志は見上げるほど高い……なるほど、アスタロト公が認めるのも分かるわ……」


 アズの言葉添えのおかげで、どうやら認めてもらえたようだ。

 黒音はタイミングを見計らってフォルカスに再度要求した。


「アンタの魔術で俺は願いを叶えられる。大袈裟じゃない、これは事実だ。頼む、俺にアンタの魔術を授けてくれ」


「ふむぅ……契約者としての資質は十分にあるようだし、授けてやってもいいんだけど、毎日研究ばかりに没頭していてね……そうだ、条件が二つあるの」


「二つ? 出来るだけ軽めのやつにしてくれよ?」


「なに、簡単よ。貴方にやってもらいたいのは部屋の片付けと、その耳栓魔術を探す手伝い」


「まあ確かに、こんな状態じゃ探せるモンも探せないわな」


 様々な魔術や研究の結果をまとめた資料や、一般的に魔石と呼ばれる魔力が凝縮して固形物化したものなどが、あちらこちらに所狭しと埋め尽くされている。

 いくらカテゴリーが明確に分かっているとは言え、こんな中では見つかるものも見つからない。


「よし、ここはフィディとサンティだ」


 魔方陣の中から呼び出されたのは、先ほどから活躍しっぱなしのフィディと、日本酒を一升瓶のままラッパ飲みしているサンティだ。

 好奇心旺盛なザンナだと、逆に散らかしかねない。

 ここは大人な二人組に手伝ってもらおう。


「えぇ、部屋の片付けえ? 私やったことないんだけど」


「お前ほんと婚期逃すぞ……」


「うっさいわね。私は神機よ? 婚期もクソもないわ」


「な、貴方、神機まで使えるの!?」


「え、ああ、俺が持ってる神機は三つだが、実質は二つだ。一応他人の契約した神機も使える」


 焔の従えているラボーテや、焔が愛用しているクラウ・ソラスなども例外に漏れない。


「なんてこと……貴方、気づいていないの?」


「気づいていない? 一体何に?」


「貴方の持ってるその能力は〈魔王の絶対命令(クリムゾン・オーダー)〉よ?」


「なん、だそれ……ってか今魔王(クリムゾン)っつったか?」


 魔王のことを、紅の血統と称して通称"クリムゾン"と呼ぶ。

 その他にも〈賢者(ワイズマン)〉や〈魔帝(ルシファー)〉などと呼ぶこともある。


「魔王はこの世界に存在するすべての神機を使うことが出来ると聞くわ。それこそ自分と契約していない神機でさえも」


「じゃあ俺が焔の神機を従えて戦えたのは、俺に魔王の力があるから……?」


「まさか……魔王が黒音を消そうとしたのは、黒音が魔王の力を持っているから……? 自分と同じ魔王の力を持っているから、黒音を襲ったの……?」


 指折りで数えられるとは言え、この世界には数人の魔王がいる。

 魔王たる資格を持ったほんの一握りの逸材が。


「違う……俺は魔王じゃない……俺はただの……」


「なら何故、ただの契約者である貴方が四大チームの面子と渡り合えたの? 何故リミットブレイクに触れる所まで上り詰めているの?」


 他に何が、魔王が黒音を殺そうとする理由がある。

 そう言わんばかりに、フォルカスは黒音の言葉を詰めた。

 自分でも薄々分かっていた。どうして一人の契約者に過ぎない自分を、英雄は認めたのか。

 そしてレーヴァテインに選ばれたことで、その疑惑が確信へと向かい始めている。


「フォルカス……質問に答えてくれ。レーヴァテインって神機を知ってるか……?」


「ええ、あの神機は使い手の元へ自ら舞い降りることで有名よ」


「なら……その神機が俺の元に……俺の左腕に宿ったのは……何故だ……?」


 黒音の左腕に刻まれたレーヴァテインの証。

 肌に直接掘られているのではなく、タトゥーのように描かれている文字。

 それを目にしたフォルカスが、目を見開いて黒音の左腕を小さな両手で掴んだ。


「そんな……レーヴァテインの文字ですって……!? まさか、まさか貴方……〈終焉の悪戯〉が創造した魔剣にさえ認められたと言うの……!?」


 それが魔王たる資格を持つ者だからと言うならば、もう黒音にはそれを否定する言葉はなかった。


「……まあいいわ。確か貴方、雑音を遮断して必要な音だけを聞き入れる魔術が欲しかったのよね」


 ──それからのことは、ほとんど覚えていない。

 自分が覚えているのは、無機質な表情のままフォルカスの部屋を片付けた後、目的の魔術の術式を紙に書いてもらって、その後は──


「……あれ……ここは……」


「気がついたのね。私の邸よ」


 別に意識を失っていたわけではない。

 ただあまりのショックで、放心状態に陥っていただけだ。


「なあアズ、お前は俺が魔王だって、知ってたのか?」


「……ええ……厳密には、気づいていた、かしら……」


 最初からおかしいと思っていた。

 何故契約者の頂点に君臨する魔王が、名もなき少年を狙ったのか。

 そしてそこに偶然英雄が通りかかったことも。

 謎の契約者が、黒音の記憶を奪ったことも。


「でも決して騙していたわけではないわ。ただでさえ記憶を失っている貴方を、今のように混乱させたくないから、黙っていただけ……分かってちょうだい」


「別に、お前を疑ってるわけじゃない……ただ倒そうとしていた相手と自分が同族だって思うと、複雑なだけだ」


 自分の体の中に魔王の血が流れていると思うと、変に呼吸が苦しくなってくる。

 だがいずれは知らなければならない事実だ。

 目を逸らしたままでは進めない、絶対不可避の道。


「何はともあれ、目的は達成されたわ。後五時間くらいで予定の帰宅時間よ。どうする? もう人間界に帰る?」


「……いや、もう少しここにいたい……どうせだ、フルカスの魔術を試させてもらおう」


 フルカスに授けてもらった魔術は、頭の中で必要な声だと認識した声帯を記憶し、その声帯と一致する声だけを耳に届けると言った魔術。

 これで仲間の声以外をシャットアウトすれば、心眼が開けるようになる。


「適当に部下の悪魔を集めてくれ。部下の悪魔が騒いでる時に正確にザンナの小さな声が聞こえるか、確かめる」


 紙に書かれた魔方陣に魔力を送ると、耳の中に水が入ったような曇った音が聞こえた。

 しかしそれは一瞬のことで、すぐに聴覚が正常に戻った。

 そして集まった数名の悪魔に大きな声で騒いでもらい、ザンナは自分の好きなタイミングで言葉を発する。


「……また梓乃とスイーツ巡りしたい……」


 あらかじめ認識していたザンナの声だけが、鮮明に聞こえた。

 まったくと言うほど回りの音が聞こえないわけではないが、逆にその方が戦況をよく分析出来る。


「……問題ねえみたいだな。後はお前らの声を認識して、帰って海里華達の声も認識させよう」


 アズの部下に惜しまれながらも、魔界を後にした黒音達。

 当初の目的である雑音を排除する魔術も、レーヴァテインの情報も、自分の記憶に関する情報までをゲットした。

 だがそれと同時に大きなものを失った。

 自分が自分である証。長らく見ない振りをしていた、本当の自分と言う疑問に直面してしまったのだ。

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