ゲーム開始!
「こちら伝達班、応答願いますわ」
「こちら山田です、どーぞ」
「えっと、今そちらに西側の階段の方からスナイパーの生徒が3名向かいましたわ」
「了解」
「お気を付け下さい、きさらッあ、間違えました山田さん」
「ふふ、大丈夫だよ。ありがとう」
少年はペイント銃を構え息を殺す。手鏡を使い廊下の様子を窺う。そして、彼らが階段を登り切り3人全員の姿を視界に捉えた瞬間、一気に彼らの前へと距離をつめペイント銃で彼らの武器を打ち落とす。
突然のことに撃たれた彼らは騒ぎ出す。
「なッいったい何が起きたんだ!」
落ちた武器を拾いあげ少年は言う。
「この武器は僕がもらうね。君たちは大人しく体育館に戻ってゲーム観戦を楽しんでくれ」
少年の言葉に彼らは逆上する。
「は? ふざけんな、こんな簡単に終わってたまるかよ。おい、こいつ俺らでやっちまおうぜ」
「こんなもやしみてーなヤツ素手で十分ボコれるだろ」
「おいもやし、俺らの武器返しやがれ」
3人は武器を取られたことなどお構いなしに少年を囲む。
「君ら、ルールは守らないとダメだよ」
囲まれても冷静な態度のまま少年は言う。
「なんだよ、副会長が言ってた追加ルールのことか? スナイパーは武器を手放すか弾が切れたらその時点でゲーム参加権を失うってヤツ? そんなもん関係ねーよ。俺らはお前ら庶民を痛めつけるが楽しくてこのゲーム参加してんだぜ?」
「お前ボコって武器取り返してお前をゲームから脱落させる、それがルールだろ」
「ははは、そういうこと。大人しく殴らせろや」
少年は彼らの言葉を聞き、はあーっとため息ついたあと肩をすくめる。
「堂本先輩、こんなこと言ってる人いるんですけどー」
「「「は? 堂本先輩?」」」
「ルール違反者は即失格だ……俺の前でこいつを殴るなど、二度とそんな口聞けない様にしてやろう」
少年の背後から現れたのは風紀委員長の堂本龍兒。彼は人を殺せるのではと思えるような殺気のこもった視線で彼らを威圧した。
「「「う、うわあああああああ」」」
突然現れた恐怖の風紀委員長に睨まれ彼らは一目散に走り去っていった。
「あ、逃げちゃった。ま、武器は置いて行ってくれたし、いいか」
「玲那、無事か、怪我はないか」
堂本は少年を後ろからぎゅうぎゅうに抱きしめ安否を確認する。
「先輩、離して下さい。怪我なんてあるわけないじゃないですか。それと、玲那じゃなくて、山田って呼んで下さい! いくらここのカメラに細工して中継の回線切ってるからって気を付けてもらわなくちゃ困ります!」
「……すまん」
実はこの堂本に抱きしめられている男子用の学生服をきた少年――――少年ではなくクラスメイトの山田の制服を着た玲那である。
皆さん、こんにちは、こんばんは、御機嫌よう。如月玲那です。
現在私は山田君に変装し標的役としてゲームに参加中です。
ええ、イベントに向けいろいろ根回ししていたのですが、あっという間に始まってしまいました。




