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玲那は毎朝4時30分に離床する。ジャージに着替え、広大な敷地内をジョギングし、道場で汗を流したあと風呂に入り身なりを整え6時30分にはイギリスにいる兄の玲人へ送るモーニングコール動画を撮影、現地時間6時に着信するよう予約送信する。
そして7時30分までに朝食をすませ、車で学校に登校。菜奈ちゃんに捕まる。授業を真面目に受け、昼は中庭か屋上で昼食を取る。弁当を忘れたときは食堂で食べることもある。午後の昼食が終わったら風紀委員に顔をだしたり、図書室で時間を潰したり、自由に過ごしたのち迎えの車で下校する。
そんな毎日を過ごしていた玲那は思った。
なんか、もっと青春したいな。部活でも入ろうかな。
しかしほとんどの生徒は金持ちのお坊ちゃま、お嬢様。真面目に部活をやっているのはスポーツ推薦で入学した学生だけ。玲那が入部しても熱い青春をおくれるとは限らない。
あ、学園改革はどうなったのかって? うふ。あまり進んでいませんの。
風紀委員と一緒に校内でリンチや暴行が行われやすいポイントをまとめ、そこを重点的にパトロールしてもらっている。死角となる場所、使われていない教室などを見回り、今月だけで8件の暴行未遂事件があった。風紀が見回ることで過激な行動にでる生徒は減ってきたが、根本的な問題は解決していない。逆に加害者側の鬱憤が溜まって今までよりもっと非道な行為を行う場合だって考えられる。こちらの出方にも注意が必要だ。
正義の味方みたいにすぱーんと悪の組織をやっつける展開になんないかな。まあ、この学園全体の思想で考えたらこっちの方が悪の組織に捉えられて潰されるのだろうけど。
そんなことを考えていた昼休みの時だった。
「玲那! ちょっと来てくれ。話たいことがあるんだ」
いつもは生徒会室にこもっている聖治が教室にやってきた。
「ちょっと、鬼龍院さん! 突然現れてなんなの、お姉様を勝手に連れていかないでください。お姉様は私とこれからランチタイムですの!」
私の腕をつかんで強制連行しようとした聖治。そしてそれを阻止しようと私に抱きつく菜奈ちゃん。
「お姉様って何? 玲那、君はまた変な人引っかけてきたのか……少しは自重しなきゃダメだよ。おいお前、その腕離せ。玲那は僕のものだ。お前ごときが触れていい存在じゃないんだぞ。」
「なんですって!」
私を挟んで睨み会う2人。やっぱり想像していた通り、この2人の相性は最悪みたいだ。
「キャー。やめてー。私のために争わないでー」
取りあえず私は定番のセリフを棒読みで言う。
それでも2人はやめずお互いを罵倒しさらに玲那の拘束を強める。
「とにかくついてきて!」
聖治は菜奈ちゃんが抱きついた玲那を引きずりながら教室を後にした。
3人は屋上に来ていた。
「それで、聖治どうしたの? 何かあったの?」
「ああ、実はアホが馬鹿な計画を立て始めたんだ」
「ん? どういうこと?」
「あのアホの生徒会長が来月の体育行事のイベントで全校生徒のサバイバルゲームをやると言い出した」
アホって、聖治の会長に対する呼び名ひどいな。相当苦労させられてるんだな。でも、サバイバルゲームか。
「それ、面白そうじゃん」
「お姉様、サバイバルゲームってなんですの?」
「たぶん生き残りをかけたゲームよね。ペイント弾とか使って、撃たれた人はアウト。最後まで生き残った人の勝ちってヤツ」
「まあ、だいたいあってるけど……標的は全学年の奨学制度を使っている学生約30名。スナイパー役は標的以外の全生徒約420名。ちなみに標的にされた生徒は銃や防具の装備はいっさいない。スナイパー役には一人につきペイント弾5個と銃が渡される。標的は強制参加。生き残ればご褒美、生き残らないと懲罰が待っている。ただ、スナイパーは自由参加になっている。自ら参加するもよし。巨大スクリーンでゲームの中継を楽しむのもよしってわけさ」
「え、何それ、標的にされた生徒生き残るの無理じゃん。クソゲーじゃん」
「ああ、これは逃げ惑う標的の姿を中継でみて焔が楽しむことだけを考えたクソゲーだよ」
「なるほどね……いいじゃないそれ。こっちも楽しませてもらおうじゃないの」
「お姉様?」
アホの生徒会長が!
なかなか楽しそうなこと思いついたじゃないの!
サバイバルゲーム受けて立つ!
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