少女は再び生まれ変わる
もうなんとなくでしか思い出せないくらい昔、私は日本という平和な国で女子大生をしていた。平凡で起伏のないありきたりな毎日を送っていたと思う。
しかし、ある日気が付いたら第二の人生を異世界でリスタートしていた。女子大生からいきなり新生児として。はじめは夢を見ているのだと思った。だがそれは夢などではなく様々な事象が現実を突き付け、私は第二の人生を受け入れたものの平凡とは無縁の生活を送ることとなった。
転生先は大国のお姫様。容姿は傾国の美貌ともいうべきチート。しかし、アニメもない、ネットも見れないそんな生活のせいで幼少期から娯楽もなく笑わないでいたら表情筋が機能停止し、無表情になってしまった。加えて言葉を話すのでさえ億劫になり無口になった。もともとの怠惰な性格も相まって周りに流され受け身のままでいたら周囲にヤンデレを量産していたり異種族の争いに巻き込まれたりと散々な人生を歩んでいた。
まあ、お姫様だし、食うもの、住む場所に苦労することなく欲しいものは何でも手に入るような環境にいたんだからある意味幸せな人生だったともいえる。
そんな生活をついさっきまで送っていたと思うのだが……この状況はいったい?
とりあえず力強く叫んでみる。
「おぎゃあああああああああ(ここどこだああああああ)」
「奥様、おめでとうございます! 元気な女児でございますよ!」
「ああ、なんて可愛らしいのでしょう」
(あれ、なんかデジャヴ?)
「私の可愛い赤ちゃん、生まれてきてくれてありがとう」
「奥様、お嬢様のお名前はもうお決まりになってらっしゃるんですか?」
「ええ、女の子なら玲那、玲那って決めていたの。あなたの名前は如月玲那よ」
(キサラギレナ、和風な名前……もしかしてここ日本なのかな?)
「早く旦那様にお嬢様の誕生をお知らせしに行ってまいりますね!」
「ええ、あの人にも待望の女の子を抱かせてあげなきゃね、ふふふ」
(んんーデジャヴ感ありありだけど、寝たらまたお姫様生活に戻るかな? とりあえず一旦寝て落ち着こう)
そして私は目を閉じ、意識が遠のいていくのを感じた。もう本当はわかっている。でも、もしかしたら夢の可能性だって捨てきれない。そうして次に目を覚ました時は――
――ふぁ、寝た寝た。うん。やっぱりこれはあれだ。また転生したみたい(*゜ー゜*)
(少女は再び生まれ変わる)