第7法 「ラモールの存在」
「貴方の魔力消費量が他の人より少ないのよね」
「え?」
ラモールは首を傾げる。自分では覚えはないので、ビックリした。
「あのね、人の魔力消費量は異なるんだけど、だいたい同じなの。でも貴方の場合、他の人よりぐんっっと少ないのよ」
「それは魔力の量なんじゃないですか?」
「ううん。魔力量は多くても少なくても、消費量は同じよ」
______俺は人と違うのか?ムーナイトとも違うのか……?
「それで、私はある話を聞いたことがあるの」
「?」
そしてスハイルさんはこんな話を教えてくれた。
『クロン』______。
それは、魔導師も羨む能力を神に授けられし者_______
魔力の消費量が少なく、でも威力強い魔法を発動できる。
ありそうだが、ものすごく珍しい。
そして『クロン』は、魔法で人々を助け、喜ばせ、守り、人々の誇りとなった。
だが一部の人々はそれを羨み恨み、『クロン』とされた者を殺めてしまった。
それから『クロン』は存在しなくなり、人々の祈りも悲しみは、誰にも届かなかった。人々は、「これは神が私たちへの罰だ、私たちは誇りを殺めてしまった」と、自殺を図る人も増えた。
それ以来、もう『クロン』は存在しない、おとぎ話となってしまった______。
という話だ。不思議なことに、ラモールも聞いたことがあるような気がした。
「それで、不思議な力を持つ、魔力の消費量が少ない貴方が、『クロン』なのではないかと疑っている人も王宮内にいたわ」
「もしかして、それは俺の両親かも知れません」
「っ!!そうなの!?」
ラモールは目を閉じ、続けた。
「俺の両親は、俺が産まれる前……。いえ、もっと昔でしょう。誰かに殺されたと言われています。俺は、今までずっと村の人に支えられながら、1人で生きて来たんです。そしてある人がいいました。「お前の両親はこの村の誇りだ。お前もそれを受け継いでいるんでは」と」
「ラモールくん…」
「そして村の人たちに、いろいろなことをされました。ときには学者を呼ばれ、散々でした。しかし、ある1人の人は、俺の味方でした。そしてその人は言ったのです。「君はここではなく、他の場所にいるべきだ。他の人には言っておくから、魔法の研究をしているラケーサ王国に行きなさい」と。それで俺はここに来たと、今思い出しました」
「ラモールくん、なんだかごめんなさい。嫌なことを思い出したわね」
「いえいいんです」
ラモールも、こんなことを思い出すとは予想もしていなかったのだ。
「なら一度王に相談してみるわ。あの方、『クロン』について研究してるから」
「はい」
「じゃあ少し早いし何もしてないけど、今日の練習は終わりよ。部屋についてはカウスに聞いて。私もよく知らされてないし……。じゃあまた明日。ラモールくん」
そう言って、スハイルさんは長い廊下へ消えて行った。




