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第8話 水中の死闘:前編

ラバウルでの戦闘があった日の夜、哨戒任務にあたっていた潜水艦「伊ー168」は思わぬ敵に遇った。

深夜、いつものように空気の入れ替えや電池の充電のため浮上して航行していると遠くに艦隊らしきものを発見した。

遠すぎて艦種などはわからなかったが、少なくとも味方でないことは確かだ。

ここはソロモン諸島北550キロの海上であり、こんなところに味方の艦艇が展開してるなんて聞いたことがない。

それにガダルカナル島に敵航空隊が進出してからこの辺りは敵機の攻撃圏内に入っている。

そんなところを通れるのは敵艦隊、しかも昼間のラバウル空襲から察すると空母を含む敵機動部隊だ。

無論、厳重な対潜警備が行われているはずであり容易に手を出せる相手ではない。

とりあえず連合艦隊に報告を行う。


「我、ソロモン諸島北550キロメートル地点において敵艦隊を発見せり。未確認なれども敵空母機動部隊の可能性高し。攻撃許可を求む」


報告を受け取った連合艦隊司令部では会議が行われた。

しかし、敵機動部隊はここトラック諸島から何千キロも離れており、第3艦隊で追いかけても当然間に合わないということでとりあえず現場付近にいる「伊ー16」「伊ー154」「伊ー168」の三隻の潜水艦に攻撃させることにした。

ただし、潜水艦による攻撃は逆にこっちが沈められる危険性の方が高いため、あくまで隙があればということで無理な攻撃は行わず、敵に発見された場合は速やかに退避することが命じられた。


報告してから40分後、追跡を開始していた「伊ー168」に連合艦隊司令部からの攻撃許可が届いた。

艦長は生駒忠義いこまただよし少佐。

生駒艦長は潜水艦以外の艦に乗ったことがないという根っからの潜水艦乗りで、潜水艦に初めて乗ってからもう20年ほど経っている。

彼は海軍大学校なんかに進んで型どうりの出世をすることなど望まず、死ぬまで潜水艦に乗っていようと決めた人物だ。

そのため彼の腕は海軍随一で、潜水艦を手足のように操ることができる。

この大東亜戦争(太平洋戦争)では1942年2月のわずか1ヶ月の間に輸送船5隻と駆逐艦1隻を沈めて潜水艦乗りの間で評判になった。


また、この潜水艦「伊ー168」も日本海軍潜水艦の中では有名な艦だ。

それはミッドウェー海戦において損傷した米航空母艦「ヨークタウン」を撃沈した潜水艦だからだ。

そのときの艦長は生駒少佐ではなかったが水兵たちはそのまま。

水兵達は今回の命令を知るとまた米空母を沈めてやろうと意気込んでいた。


追跡すること2時間、ようやく米艦隊の後方5千メートルまで近づいた。

生駒艦長は潜望鏡を上げ敵艦隊の様子を見る。


「潜望鏡上げ」


潜望鏡がまだ上がりきらないうちから潜望鏡を敵艦隊の位置を予測しておいてそちらに回す。

数秒後、潜望鏡が水を切って水面に出た。


「潜望鏡下ろせ」


潜望鏡が水面にいたのはほんの数秒である。

そのわずかな間に敵の針路、速力、方位角、距離を測定する。

熟練の技とは恐ろしいものだ。

生駒艦長はマイクを手に取り部下に敵情を伝えた。


「全艦に告ぐ。敵空母確認。3隻いる。ほかに戦艦クラスが2、巡洋艦クラスが5ないし6。駆逐艦は見えるだけでも15はいた。敵は3段構えの輪形陣を形成している。そう簡単には攻撃をさせてくれないだろう。今回の水雷戦は非常に困難な戦いとなる。総員奮励努力せよ。以上だ」


 



毎回遅くてすいません。できるだけ早く次話を投稿できるよう頑張りますのでよろしくお願いします。

あと、生駒艦長は実在しません。筆者が勝手に作った歴戦の勇士です。

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