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第14話 反撃

「『大和』偵察4号機より報告。我、敵機動部隊を発見せり。大型空母3、戦艦2、巡洋艦6、駆逐艦32から成る。上空に直掩戦闘機認められず」


機動部隊を発見した偵察機から「大和」や機動部隊に報告が入った。


「よし、これで勝てます。パイロット達はみんなベテランです。彼らならやってくれるでしょう」


宇垣少将はが山本長官に向かって言う。

山本長官はうむ、と言っただけで他には何も言わなかった。

勝負はこれからで、まだどうなるか分からない。

山本長官は祈るような気持ちで敵機動部隊がいるであろう方角を見つめた。



偵察機が敵機動部隊を発見してから攻撃隊が到着するまでにさほど時間はかからなかった。

第3艦隊(機動部隊)の二つの部隊は偵察機が敵機の後を追っているとの連絡を受けるとすでに出撃用意をして待機していた攻撃隊を次々に飛ばしていたからだ。

先に着いたのは第2部隊の第1次攻撃隊だった。

第2部隊は中型と小型空母から成る機動部隊で第1次攻撃隊の戦力は戦闘機45機、急降下爆撃機32機から成り、まずは制空権を得ようと戦闘機を多めに入れてある。


一方敵は偵察機が来たにもかかわらずそれが水上偵察機だから機動部隊は出てきてないと思ったのか、それとも攻撃までにまだ時間があると思ったのか分からないが攻撃隊を収容して燃料補給をさせていた。

その上戦闘機が上空にまったくいなかった。

そこに日本軍の攻撃隊が来たものだからあわてて戦闘機を飛ばそうと思ったがそうはいかない。

結果はミッドウェイでの日本軍の悲劇をそのまま米軍にかえただけのものとなった。


攻撃隊は敵戦闘機がいないのを見てとると、艦爆を3手に分けて敵空母に襲い掛かった。

的戦闘機の発進を防ぐべく、飛行甲板めがけて急降下を開始した。

無論米艦隊はその間ぼさっとしているわけではない。

すさまじい対空砲火を撃ち上げ始めた。

急降下中の艦爆の周りを機銃弾が飛ぶ。

普通の人間なら逃げ出したくなるような機銃弾の嵐の中を日本のパイロット達はまったく躊躇することなしに突撃した。

彼らは高度150メートルまで接近したから爆弾を投下した。

ここまで接近して投下するとほとんど外れない。

しかし、接近するということはそれだけこちらも撃たれるということだ。

そのため爆弾を投下できたのは32機中21機だった。

しかしそのうち15発が命中した。


「エンタープライズ」はそのうちの半分の7発を喰らい爆発炎上、甲板上や格納庫内の航空機や爆弾が誘爆して手がつけらなくなり命中からわずか15分で沈没した。

「ワスプ」は5発が命中、こちらも大火災を発生したが沈没にはいたらなった。

「サトラガ」は3発で済んだが甲板をやられ航空機の運用は不可能になった。

こうして米機動部隊はたった1回の攻撃で航空機がまったく使えなくなった。


そしてこういう状況の中、新手の日本機が到着した。

第1部隊の攻撃隊145機である。

こちらは攻撃隊を二波に分けることなく全力で攻撃を仕掛けた。

米空母3隻が確認された時点で他に敵機動部隊がいる可能性はなく、これが現時点での米空母の全力なのだ。

別艦隊からの攻撃を恐れる心配はなく、ガダルカナルの航空隊に備えて少しの直掩機だけ残してあとは全搭載機で攻撃をかけたのだった。


この攻撃隊は炎上する2隻の米空母に魚雷を5本づつ命中させ撃沈。

また、戦艦「ノース・カロライナ」は雷撃隊の集中攻撃で魚雷7本を一度に左舷に撃ち込まれて大量の海水が流れ込んで転覆、沈没した。

さらにこのあと艦攻を中心とする第2部隊の第2次攻撃隊も攻撃に加わり、上記のほか重巡洋艦2隻、軽巡洋艦1隻、駆逐艦4隻を撃沈し、戦艦1隻を大破させた。

この大破した戦艦「サウス・ダコタ」は航行不能に陥り自沈という結果になった。


「我、米機動部隊を撃滅せり」


攻撃隊からこの報告が入ると「大和」艦橋では大歓声が上がった。

涙を流して喜ぶ者もおり、山本長官もその1人だ。

彼はこの作戦が失敗したなら腹を切って陛下と国民にお詫びするつもりだった。

しかし、味方は多少損害を受けたものの敵機動部隊撃滅に成功し見事戦局をひっくり返すことに成功した。

その成功に対する喜び、今までに散った部下達への謝罪や哀悼の気持ちが彼を涙させたのである。


感想お待ちしています!次で最終話ですが、どうぞ最後まで読んでください!

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