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第11話 接触

1943年1月12日、トラックから輸送船団と第1艦隊、第3艦隊第3部隊が出撃した。

わざわざ敵の潜水艦に見つかるようにゆっくりと進む。

輸送船団は空船だと喫水が浅くなるため中身がからであることが敵潜水艦にばれる可能性があるのでラバウルに送る物資や兵員を積んでいくことにした。


輸送船団は10日ほどかけてラバウル港に入港した。

2日で物資の揚陸を完了し、また空になった輸送船に今度は石や砂を積み込む。

これには陸軍の将兵や陸戦隊も動員され、陸軍兵の中の口の悪い兵は海軍は石や砂で敵の船を沈めるつもりでいるのか、気でも狂ったんじゃないかと毒づいた。

海軍の水兵達もなぜこんなことをするのかと首をひねったが誰もその理由は分からない。


そして1月25日明朝、艦隊は出撃した。

第1艦隊は第1戦隊を中心に輪形陣を組み、第3部隊は輸送船団を囲むように展開する。

艦隊は輸送船団の速度にあわせゆっくりと進んでいった。


一方空母部隊である第3艦隊第1・2部隊はギルバード諸島から南下を開始した。

こちらは敵に動きを悟られないため完全に無線封鎖である。

陣形もキュッと引き締め、厳重な対潜哨戒を敷く。

航海は順調で敵に発見された様子もなく12月25日午後には敵艦隊の予想進路付近に到着し、索敵を開始した。



1月26日朝、第1艦隊旗艦戦艦「大和」艦橋では山本五十六連合艦隊司令長官が艦橋で空を眺めていた。


「宇垣君、今日は敵機が来るかな?」


山本長官は隣にいる宇垣少将に話しかけた。


「食いついてくれないと作戦が成り立ちません。潜水艦部隊の報告では敵機動部隊はこちらの動きに対して出撃してきているようですし、今日は来るでしょう」


そう言うと宇垣少将はガダルカナルの方の空を睨んだ。


「うむ。上にいるラバウルの連中もやる気満々のようだし、この『大和』も実際に戦闘をやるのは初めてだから水兵達も張り切っている。今日は楽しみだよ」


そう言って少し笑顔を浮かべた。

上空にはラバウル航空隊から送られてきた直掩機が50機ほどいる。

それらが雲の間を見え隠れするのをしばらく眺めていると突然伝声管から報告が入った。


「見張り指揮所から艦橋へ!ガダルカナル方面より敵機飛来。カタリナ偵察機と思われます。3機向かってきます」


見張り指揮所の望遠鏡が敵機の姿をとらえたようだ。

まだ電探は装備しておらず、こうして人の目で確認しなくてはならないのは不便なところである。


「やっと来なさったようだ。宇垣君、直掩隊に連絡、しばらくは手を出すなと伝えてください。敵さんにしっかり見てもらってから撃ち落とすようにと」


山本長官は望遠鏡で敵機の姿を見ながら言う。

敵機は数分後艦隊上空に到着ししばらく旋回していた。3周したかな、と思ったときカタリナの真上から10機の零戦が降って来た。零戦隊はカタリナに機銃掃射を加えつつすれ違い、編隊最後の機が銃撃しようとしたときにはすでに3機全機が火を噴きそれぞれ落ちていっていた。撃墜されたカタリナが水飛沫を上げて海中に吸い込まれていくと各艦からは大きな歓声が上がる。山本長官は最後の敵機が海中に消えるのを見届けた後、艦長に向かって言った。


「艦長、Z旗をあげてください。今日の戦いで日本の将来が大きく動きます。そのことを艦隊の全員に知らせるのです」


しばらくして「大和」のマストにZ旗が掲げられた。よく知られているように「皇国の興廃この一戦にあり。総員一層奮励努力せよ」という意味だ。他の艦の水兵達もすぐにこの旗が「大和」のマストにはためくのを見つけざわめいた。そしてしばらくして山本長官の言葉が伝えられた。



「今回の戦いは皇国の浮沈を決める戦いとなる。海軍の総力を挙げた決戦である。全員死力を尽くして戦ってもらいたい。私も諸君とともに戦う。陛下のため、皇国の栄光のため、そして諸君の帰りを待つ家族のためにともにこの決戦を戦い抜こう」




更新遅くなって申し訳ありません。パソコンの不調がなかなか直らずやっと今日になって復活しました。この小説ももう少しで終わりです。最後までよろしくお願いします。

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