5.夕焼け-ユウヤケ-
太陽が沈みゆく中、少女は屋敷の二階から外を眺めていた。
「良い風ね」
夏が終わりを迎える手前、涼やかな風が吹き抜ける。
少女の髪が少し乱れ、風に舞っていた。
「それにしも、以外ね」
「千里眼といえど、たまには予想を外すこともあるさ」
かつて少女と並んで写真に映っていた男が、肩をすくめて言い返した。
「まだ、私の傍にいるの?」
「ああ。ちゃんと隣で夕日を見ているよ」
あの夜起きたことは全ては男の言うとおりだった。
しかしひとつだけ違ったのは、少年が少女の守護霊として、憑いたことだった。
成仏したかに見えたあの時、実際は少女と一緒にいたいという未練を見出し守護霊となったのだ。
「まったく、不便だわ」
巫女の力は基本的に守護霊に作用することは無い。
かといって例外がない訳ではないので、意図的に守護霊を見えなくしている。
「だからこうして教えているだろう?」
というのをあの夜この男に教えてもらった。
「傍にいるのに喋れないなんて、ちょっと寂しいわね」
窓辺から見える夕焼けの景色は、いつまでも変わらずオレンジ色一色だ。
「ちゃんと私を守ってね」
隣にいるであろう少年へと語りかけ、少女は夕焼け空を見つめる。
窓辺から見える大通りを提灯が列を成し、明かりをつけ始めていた――。




