貝殻
掲載日:2026/06/17
ラッシュ時の運転席
川橋から見た彩光が心にふと蘇るのは
あの面影への淡い気持ちがきらめくから
川面に点々と水輪が生まれて
誰かの足跡みたいに近づいてくる
夏の気配 そのもとへと
横隔膜を広げて 香りを吸い込む
紙ヒコーキを飛ばす
川緑へと眠りに落ちる速度で
滑りだしてゆけ 散りばめらてゆけ
木々の枝先に成る実に
雲に
蝶に
蜻蛉になれる
海にまで運ばれるなら
あなたが手に取る貝殻になる
いつかいつか
永遠に波音が聴こえる場所を
みつめている
胸の中 割れて光る一瞬の中であなたを、
光を零さぬようにこのみに抱きしめて
星が消えないようなゆめを
瞳の中のきらめきを




