第二章:皮の画廊とホルマリンの口づけ
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格調高い風間別荘の地下には、陽の光が届かない世界がある。そこは源一郎が「失敗」と「過去」を閉じ込めている場所だ。
【視点:風間結莉 — 囚われの女王】
この地下室の床は、裸足の裏にいつも冷たく響く。父――源一郎は、鋼鉄の手術台の前に立ち、扉に背を向けていた。
「おいで、愛しい娘よ」
その声は穏やかで、老いゆえの震えがありながらも、絶対的な権威に満ちている。
私が歩み寄ると、ホルマリンの刺激臭と生々しい血の香りが鼻を突いた。台の上では、肉の塊が鋼鉄のクランプで固定されている。父は10番のメスを手にした。
――スッ……。
鋼の刃が触れる音が、私の脊髄に奇妙な震えを走らせる。それが恐怖なのか、それとも彼が私の脳に植え付けた執着なのか、自分でも判らなかった。
「これを見なさい、結莉」
彼が振り向いた。その顔には、小さな血の跡が点々と飛んでいる。「これこそが純粋な形の愛だ。弱さを取り除き、より強くするために必要な儀式なのだ。判るだろう?」
父は私の肩に手を置き、その冷徹な空間へと私を引き寄せた。彼の手が私の頬を撫で、赤い跡を残していく。
「すべては、お前たちを愛しているからだ」彼は囁く。「私がいなければ、お前たちは外の世界で壊されるだけだ。ここでのみ、私の手の中でのみ、お前たちは完成される」
私は瞳を閉じ、その言葉を受け入れた。
「はい、お父様……。私はあなたのもの。あなたの手によって、私は完成される」
【視点:風間詩織 — 欠けゆく末娘】
半開きになった扉の隙間から、私は二人を見ていた。父と結莉お姉様は、暗闇の中で奇妙な儀式を行っているようだった。
部屋の隅では、父のコレクションである「お人形」の一人が、私を見つめている気がした。
突然、父が扉の方を向いた。その瞳はうつろで、私がここにいることに気づいていないかのようだった。「誰だ? 新しい患者かな?」
だが次の瞬間、彼の顔は静寂を取り戻し、より恐ろしいものへと変わった。「ああ、詩織か。おいで。お姉様がね、君の手をもう少しだけ『整える』必要があるって同意してくれたんだよ」
逃げたいのに、足が床に釘付けになったみたいに動かない。結莉お姉様は、唇を拭いながら、静かな笑みで私を見つめている。
「怖がらないで、詩織」結莉お姉様が、透き通った声で言った。「お父様は、あなたを私のようにしてあげたいだけなのよ」
「最後までお読みいただきありがとうございます。次回の更新は明日、22:00を予定しております。また明日お会いしましょう!」




