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第二章:皮の画廊とホルマリンの口づけ

#完璧な家族の作り方 #ネット小説 #なろう #サイコスリラー #胸糞小説 #ダークファンタジー #ホラー #R15

格調高い風間別荘(かざまべっそう)の地下には、陽の光が届かない世界がある。そこは源一郎(げんいちろう)が「失敗」と「過去」を閉じ込めている場所だ。


【視点:風間結莉(ゆり) — 囚われの女王】


この地下室の床は、裸足の裏にいつも冷たく響く。父――源一郎は、鋼鉄の手術台(オペテーブル)の前に立ち、扉に背を向けていた。


「おいで、愛しい娘よ」

その声は穏やかで、老いゆえの震えがありながらも、絶対的な権威(オーソリティ)に満ちている。


私が歩み寄ると、ホルマリンの刺激臭と生々しい血の香りが鼻を突いた。台の上では、肉の塊が鋼鉄のクランプで固定されている。父は10番のメス(スカルペル)を手にした。


――スッ……。


鋼の刃が触れる音が、私の脊髄に奇妙な震えを走らせる。それが恐怖なのか、それとも彼が私の脳に植え付けた執着なのか、自分でも判らなかった。


「これを見なさい、結莉」

彼が振り向いた。その顔には、小さな血の跡が点々と飛んでいる。「これこそが純粋な形の愛だ。弱さを取り除き、より強くするために必要な儀式なのだ。判るだろう?」


父は私の肩に手を置き、その冷徹な空間へと私を引き寄せた。彼の手が私の頬を撫で、赤い跡を残していく。


「すべては、お前たちを愛しているからだ」彼は囁く。「私がいなければ、お前たちは外の世界で壊されるだけだ。ここでのみ、私の手の中でのみ、お前たちは完成される」


私は瞳を閉じ、その言葉を受け入れた。

「はい、お父様……。私はあなたのもの。あなたの手によって、私は完成される」


【視点:風間詩織(しおり) — 欠けゆく末娘】


半開きになった扉の隙間から、私は二人を見ていた。父と結莉お姉様は、暗闇の中で奇妙な儀式を行っているようだった。


部屋の隅では、父のコレクションである「お人形」の一人が、私を見つめている気がした。


突然、父が扉の方を向いた。その瞳はうつろで、私がここにいることに気づいていないかのようだった。「誰だ? 新しい患者(かんじゃ)かな?」


だが次の瞬間、彼の顔は静寂を取り戻し、より恐ろしいものへと変わった。「ああ、詩織か。おいで。お姉様がね、君の手をもう少しだけ『整える』必要があるって同意してくれたんだよ」


逃げたいのに、足が床に釘付けになったみたいに動かない。結莉お姉様は、唇を拭いながら、静かな笑みで私を見つめている。


「怖がらないで、詩織」結莉お姉様が、透き通った声で言った。「お父様は、あなたを私のようにしてあげたいだけなのよ」


「最後までお読みいただきありがとうございます。次回の更新は明日、22:00を予定しております。また明日お会いしましょう!」

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