9『もうひとりのメンバー』
夏服ブレザーでスカート丈が短く、ウォーブのかかった金髪をサイドテールで束ねた女子高生はカバンをドサっとデスクに置くと、俺の顔を見て「おおっ!」と言った。
「噂の新社長さんだー! はじめまして、今居久留里で〜す!」
眩しい……鬱々とした学生時代の俺と比べて、キラキラ輝く学生生活を送っているのが容易に想像できる。
とにかく、これで西新宿ギルドの全員が揃ったわけだな。
「はじめまして、奥野勇人です」
「は〜い、じゃあユッピーって呼ぶねー!」
「ユ……ユッピー……?」
「真希ちゃん、ひさしぶりー! 相変わらず美人すぎー! ねえねえ前も誘ったけど、うちの事務所紹介するから一緒にモデルやろうよー」
「やらない」
「ああ、そうだ社長さんよ」と五郎が椅子から立ち上がった。
五郎は元サラリーマンの俺のことを社長と呼んでくる。
「全員揃ったことだしステータス診断しようぜ。それと社長のスキル名も登録しておこう」
異世界では自分のスターテスを数字で見る方法はなかったので、いま五郎に言われるまでステータス診断のことは完全に忘れていた。
また前と同じ様にヘッドギアと左指の装置で真希に診断をしてもらった。
名前:オクノユウト
性別:男性
年齢:33歳
Lv.1→9
筋力:8→16
耐久:7→15
魔力:12→29
敏捷:7→13
器用:8→15
所持スキル数:4
《魔獣創造》★★★★★(SS級)
《妖器賜与》★★★★★(SS級)
《闇築因子》★★★★★(SS級)
《幻界収蔵》★★★★★(SS級)
やはりあのクモはそうとうな強敵だったらしく、一気にレベル9になっていた。
ふむふむ、各数値は順当に上がってるみたいだ。
俺のあとに3人のステータスも順番で調べていった。
黒波五郎のレベルは42。
スキルは普段抑えている力を解き放つ《剛力解放(★★★★)》を持っている。
筋力は63で耐久は72の、かなりのマッチョゴリラだ。
蛇澤真希のレベルは21。
スキルは一緒に潜ったダンジョンでも使っていた遠くが見える《千里眼(★★)》と弓の連射を可能にする《瞬射連撃(★★★)》。
特徴としては器用さが58とかなり高い。それにしても10万人にひとりと言われているツースキル持ちなのには驚いた。
今居久留里のレベルは13。
スキルは《癒昇恩寵(★★★)》で、これは回復魔法の効果量が上昇する。
彼女は西新宿ギルドで唯一、魔法(回復魔法)が使える。
なるほど。近接、遠距離、回復とバランスは取れているようだ。
魔法は突然の“ひらめき”がないと使えない。五郎と真希はまだ“ひらめき”を得ていないので、現時点は物理攻撃主体の脳筋パーティーだ。
俺は魔力が高めだけど、ずっと“ひらめき”がこなければ、その魔力は無用の長物となってしまう。
ちなみに1度にダンジョンに入れるのは1ギルド4人までで、これは「世界ダンジョン機構」が定めたルールだ。
民間に“解放”された数年後、ギルド同士の大きな衝突がダンジョン内で起き、多数の犠牲者が出た。それにより一度に入れる人数に制限ができたのだ。
「じゃあユッピー! 夏休みの間、頑張るからね〜!」
久留里は白い歯を見せた能天気な笑顔でピースサインをした。
……ええと、つまり夏休み期間が終わったら回復役がいなくなるってことか?
それは、いろいろとマズいぞ。
ただ、それよりもさらにマズいのは……このギルドの財政状況なのだ。




