7『元魔王、ギルド代表になる』
「最初に使ったスキルは《魔獣創造》で、空間にある物質から自分の命令に従うモンスターを作り出すことができる。そして次に使ったのは《妖器賜与》で、これはモンスターを素材にして新しい武器防具や道具が作れる」
俺は自分が所持しているスキルについて説明した。
全員ポカンとした顔でそれを聞いてる。
「3つ目は《闇築因子》だ。地中から建造物を出現させる。そして4つ目は《幻界収蔵》。荷物を無制限に持ち運ぶことができる。4つの中で《魔獣創造》が特に体力を消耗する感じかな……だからいまはかなり疲れてるよ」
「あの……勇人くん、あなたは昔はスキルを持っていなかったのに、どうしていまはあるの? しかも聞いたこともないスキルを4つも……」
「目が覚めたときに……なんか自分がスキルを覚えてる気がして……そんで診断してもらったら、あった」
「ええええっ?」
異世界で1000年魔王をやっていたことはとりあえず黙っておこう。
なんだか色々と面倒そうだし、自分のこれからの夢にはあまり関係がないし。
五郎は「驚きだ」と言いながら背中に固定されたホルダーに大剣を収めた。
「じゃあ診断は正しかったわけか……それでこれからどうするつもりなんだ? 大手ギルドの探窟家にでもなるのかい? かなりの高待遇で迎えられるとは思うが」
「理想はギルドを設立したい。持ってるスキルをフル活用して運営ができたらと思ってる。自分のスキルを全部隠さず伝えたのは、今後の身の振り方について知恵を借りたかったからだ」
「なるほどな、たしかにアンタのスキルは戦闘よりも運営に向いてるかもしれない……だがこの数年でギルドの新規設立はかなり難しくなってるぞ。どっかの休眠ギルドを買い取るのが手っ取り早いが、そう都合よく交渉までいけないし、かなりふっかけられる」
そうなのか……困ったな。
となるとどっか大手に入って上を目指すしかないのか?
すると五郎はにやりと笑った。
「ギルド作りたいんなら……俺のかわりに西新宿ギルドの代表にならねぇか?」
「西新宿ギルドの?」
「俺は元はでかいギルドにいたんだ、だけどそういうところは規律だのがうるさくてさ。そんでまだギルド設立の制限が少ない時代に独立したんだが、どうしても運営がうまくいかねぇんだよ。つうか数字に向いてねぇんだ。真希はどう思う?」
「私は現在よりもお金がもらえるのなら、別に社長はだれでも」
それは自分にとって願ってもない提案だった。
たしかに西新宿ギルドはかなりの零細だけど、そういうスタートも悪くない。
「わかった。じゃあ、よろし……」
「勇人くん! ちょっと待って!」
「え? なに?」
全員が雪奈に注目した。
雪奈は大きく息を吐いてから、キラキラした目で俺を見つめてきた。
「私と一緒に“ダンジョンの向こう側”を目指そうよ! 私のスキルとあなたのスキルを使えば絶対に辿り着けると思う!」
その顔は、「私と一緒に学校に行こうよ!」と何度も誘ってきたときの顔と、何も変わってなかった。




