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41『そこは正座よね』

「そこに座って。あっそうね、そこは正座よね、うんうん」



ローテーブルを挟んで俺は雪奈と向かい合って座った。

雪奈はテーブルの下にあった久留里が脱ぎ散らかしたブラージャーを掴んで、ため息をつきながら脇に置いた。



「私ね、こういうの良くないと思う。ギルドの代表とそのパーティーメンバーが同棲……しかも大人同士ならまだしも女子高生って」


「久留里は高校中退してるから女子高生じゃない……まあ、それはいいとして俺と久留里は付き合っていないし、もちろん同棲なんてしてないよ」


「勇人くんの服まで着てるのに……」


「彼女は昨日家出してきて勝手に居座ってるんだ」


「家出……? 今居さん、それは本当なの?」


「パパと喧嘩したから。だって探窟家(シーカー)やめろっていうだもん」



つまらない喧嘩で家出でもしてきたのだろうと思っていたが、どうやら俺にも無関係な話ではなさそうだ。

西新宿ギルドは零細だからちょっと潜っている程度だと思っていた父親が、あの石の竜巻とのバトルの念写画像を見て仰天してしまったらしい。



「あの……勇人くん、ごめんなさい勘違いちゃって……あ、もう正座いいから、うん」


「……わかってもらえればいいんです」



探窟家(シーカー)は絶対にやめないという久留里の意思は固かった。親との絶縁まで考えているそうだ。

俺と雪奈は、久留里の父親を説得してみると約束した。



渋谷区松涛にある久留里の家は……デカかった。

要塞のような高い塀の中にはエラい建築家が予算気にせず設計しましたというような洋館が建ち、広大な芝生は美しく、庭木は完璧に剪定されている。

東京を代表する超高級住宅街にこのサイズの家はただごとじゃない。


今居久留里……今居……イマイ……。



「もしかしてさ……久留里って……あのイマイグループの……ご令嬢?」


「そだよー。あ〜あ、ギルドの人には内緒にしてたのになー」



巨大ショッピングモールやスーパーマーケットを全国展開する「イマイグループ」。

イマイが進出した地域の小規模商店やスーパーは根こそぎ消滅してしまうと言われるほどで……イマイは流通や商業の“魔王”のような存在だ。


監視カメラが設置された門に久留里が近づくと、門扉が音もなく開いた。

家の中からお手伝いさんと思われる女性がやってくるのを俺と雪奈は呆然と眺めた。



「そういえば雪奈はさ、なんの用事で俺のアパートに来たんだ?」


「私と異世界を目指すって言うまで、中でハンガーストライキでもしようかなって……」



──久留里よりタチ悪いじゃねえか!

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