13『クズ魔石の買取り』
ダンプトラックの荷台をお台場Bダンジョンの入口にギリギリまで近づけた。
そして《幻界収蔵》に集めたクズ魔石を、ダンジョンの中から荷台に向けて放出した。
ダンジョンから一歩でも出てしまうとスキルは使えなくなるのだから、こうするしかない。
クズ魔石を荷台に詰んだトラックは湾岸道路を北上していく。
東京湾に突き出した大田区の京浜島には、西新宿ギルドとは顔馴染みの魔石専門の買い取り業者のヤードがあると五郎から教えられていた。
ダンプの荷台にかけられたシートを剥がした業者の男は、信じられないという顔をした。
「これが全部クズ魔石だって!? 俺ひとりじゃダメだ。お〜い! 手があいてるやつは全員集まってくれ!」
男たちはクズ魔石を運び、ベルトコンベアーに乗せていく。
クズ魔石の岩は次々と魔力スペクトラム分析スキャナーを通過していき、ディスプレイの数字が増えていった。
クズ魔石内の魔石含有量は0.001~0.003%程度で、魔石の相場は現在グラム/3万円前後だ。
「いや〜こんなのははじめてだよ。レア魔石も混ざってたからね……これが換金明細だ」
灰色のつなぎ姿の業者の男に手渡された紙を真希が覗き込んできた。
「これが今日の儲けなの? 1日潜って20万円分の魔石を持ち帰れたら上出来って感じだったのに……」
「お台場Bダンジョンの権利者である東京都へのロイアリティ20%を引いた純利益は312万円だ。四人で実働半日と考えたら、良すぎるってレベルじゃないと思うよ」
真希は指をそろばんを弾くように動かす。
「312万円……30日潜れば約9360万円……ひとりが1ヶ月で2340万円稼ぎ出す超高収益。ベーリング海峡のカニ漁よりも凄い……」
「け……計算はやいな……」
「ずっとクズ魔石採掘業者やってた方がいいんじゃないかしら?」
「お台場Bダンジョンの地下3階はかなり取り尽くしてしまった。他にも似たような条件のダンジョンはあるとは思うが数に限りはある」
「そうね。クズ魔石はカニみたいに勝手には増えないし」
コンテナボックスに腰掛けた久留里は「おおおっ!」とか言いながらスマホを触っていた。
「ユッピー見て見てー! 雪奈さんと一緒に撮った写真、超バズってるー!」
久留里の興味は利益よりもそっちか……とにかく、クズ魔石集めが計画通り成功して良かった。
安心したら腹が減ってきたな。
「今日は儲かったしみんなでうまいもんでも食いに行くか! 真希はなにか食べたいもんはあるか?」
「…………カニ」
カニ……カニ……とスマホで店を検索していると、小型の機械のようなものを持った五郎がやってきた。
「社長さんよ、こいつは……GPS発信機だ。うちの社用車に取り付けられてたぜ」
「GPS? 誰がそんなことを? 俺たちがどこに行くのかを知りたいヤツなんて……あっ!」
雪奈だな──まったく、何考えてるんだよ。




