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10『運営方針・1』

エアコンはフル稼働しているが、建物自体が焼石のようになっているからか嫌な蒸し暑さが感じられる。


ギルドの代表として、まずはメンバーのことをよく知らないといけない。

五郎、真希、久留里の順番で、各人がどのような目標を持っているのかを話してもらった。



「ンなもん、ずっと変わってねえ。ダンジョン内で最強の男になるのが目標だ!」


「もっと魔石を多く持ち帰りたい。引退後に不動産と株式投資だけで悠々自適な生活がしたいから」


「大活躍してー、レア装備ゲットしてー、それをキッカケに有名タレントになりたいなぁ」



強くなる、稼ぐ、有名になる、その目標実現には強いモンスターがうごめく深い階層に潜る必要があるだろう。

世界一のギルド運営者を目指す俺もできれば早くそうしたいが……しかし。



「正直言って現在の運営状況はかなり厳しい。さらに「世界ダンジョン機構」に支払う認可ライセンス料が大幅に上がるという噂がある。もしそうなれば全員の目標以前にこのギルドの存続すら危うい可能性がある」


「なにかと理由つけて上げやがるからなぁ」


「それぞれの目標の前に西新宿ギルドの維持が大事だ! そしてギルドの収入源の確認だけどメインは魔石と金鉱石を持ち帰ることで、法的には第一次産業の資源採取業に含まれる」



真希は自分の指にはめている魔石が紫の光を放つ指輪を眺めながら、つぶやいた。



「できれば価値の高い魔石の方を持って帰りたいけど……」



彼女が言うように魔石のグラムあたりの価値はゴールドよりも高い。

魔石はこれまで地球上にはなかったエネルギー結晶だ。半導体や核燃料に近い用途が期待されていて現在は主に宇宙産業で使用されている。


ダンジョンで手に入れた魔石などは「世界ダンジョン機構」に登録されている公式取引企業で換金され、ダンジョンの土地権利者が定めたロイヤリティを差し引いた額……これがギルドの儲けとなっている。



「ここの代表になるのが決まってから色々と調べたんだ。どこも浅い階層は大きな魔石が取り尽くされていて、残っているのは微量な魔石を含んだ……クズ魔石と呼ばれる岩ばかりらしいね」


「ああ、そうだ。あんな重いモンを袋いっぱいに詰めて持って帰ろうとすれば無防備で危険だし、そこまでした苦労に全然見合わねぇ買取額だ。だからクズ魔石は誰も見向きもしねぇ」


「そこで……提案がある」



それまで話に加わってこなかった久留里はネイル塗りを中断した。

全員が俺に注目している。



「俺にはいくらでも無限に荷物を運べる《幻界収蔵(アストラルホールド)》がある。ここに浅い階層のクズ魔石をガンガンぶっこめばいい。そしてダンジョンから外に出る一歩手前で、外に向かってクズ魔石を放り出す。あとはトラックにでも詰め込んで公式取引企業に持っていくんだ」


「なるほどな! たとえ魔石含有量が微量であってもトラックに満載の量ならば……チリも積もればってやつだな! 外から見たらクズ魔石でも砕いたらレア魔石が紛れてる場合もあるしな」


「目ぼしい魔石が取り尽くされている過疎ダンジョンをピックアップしてリスト化してほしいんだ、真希にお願いできるかな?」


「勇人の狙いは理解したわ。過疎ダンジョンの権利者は探窟家(シーカー)に来てもらいたいからロイヤリティを下げてる……つまり私たちの取り分が多いってことね」


「そういうことだ……ダンジョンに深く潜る前にまずは金を貯めよう」



金のことばかり考えて深層階に潜ると、どうしても無理をしがちになって命すら落としかねない。

挑戦ってのはある程度余裕がある状態でやるべき……それが堅実な俺の運営方針だ。



さあ、過疎ダンジョンのクズ魔石──ぜんぶ俺たちがいただいてやろう!

ここまでお読みいただきありがとうございます。

明日から毎日2話(朝と午後に1話づつ)更新予定です。


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