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第2話

 実習室の厨房に入ると、面子が先週と少し変わっていた。専攻内で実力に合わせて定期的にクラス替えが行われるのだ。僕は一度クラスAに上がった後は下がったことのない、ちょっとした名物だ。


 目黒とテーブルにつくと、見慣れない女学生のヒソヒソしたようで丸聞こえな声が聞こえてくる。


「今日の実習、マカロンだって」

「えー、私ちょっと苦手」

「知ってる。初回だしさ月見君にコツ聞いちゃえば」


 不快だ。どうせ他人だと思いながらも聞こえるものはしょうがない。静かにため息をついて立ち上がり、女学生たちの前まで歩く。


「なあ、君たちクラスAに上がりたて?」

 そう話しかけると、浮ついていた女子たちが途端に黙った。

「アキぃ、そんな怖い顔して話しかけたら泣いちゃうだろうが」


 目黒が僕の顔を指さして茶化すが目黒含めクラス中の目は冷たい。そういう場所だ。


 スーっと、新品のように綺麗な実習室のドアが開きその静かな音で皆が前を向く。


「……クラスBへの伝達、うまく行ってないな」

 うまいタイミングで入ってきた実習講師が言った。

「うん、月見。ごめんけどBまで行って呼んできてもらえるかな」

「はい」


 伝達不足でAへの移動をし損ねた学生を呼びに調理棟の廊下を歩く。パタパタとコックシューズの音が響いて心地いい。


(ん、あれ……)

 クラスBに着く直前、窓の外に見慣れた人影が見えて足を止めた。


 窓の外から中を見ていたのは、長いサラサラとした茶髪を風に吹かせたひなただった。

 厳密には中を見ていると言ってもこちらではなく今から向かう方向、クラスBの中を変な角度から見ているようだ。

 自然と、足が窓に近づいていく。


「綺麗、だな」


 まじまじと見たのは初めてだ。一年の頃から美人がいる、逸材だとは噂されていたが、やはり抜群に有名になったのはこの間の優勝以降だ。

 夏宮ひなたは、特別儚いとか長身でスタイル抜群だとか、そういうのでは無い。こう見るとただ、明るい茶髪がキラキラと輝きそれ以上にパッと映える顔や体躯からまるで太陽のような力強さと明るさを感じる。


「直視できる、太陽……」


 ハッと、窓に映る自分が見えた。慌ててまたクラスBへ歩き出す。僕の瞳が輝いていたことが頭の中をグルグルした。



次回 第3話-青天の霹靂

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