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職業選択その1

「戦闘系の職業につくには冒険者登録、もしくは国や街から認可を得る必要があります」


「はい」

(なんか国家資格みたいだな)


「当ギルドで就くことの出来る職業は剣士、拳闘士、攻撃魔法士、回復魔法士、猟士の5つとなります。職業に就いてモンスターと戦闘を重ねることで職業レベルが上がっていき、職業に応じたスキルや魔法を覚えることが可能です」


(最初から選べない職業があるのはゲームと同じかぁ)


「わかりました。ちなみに今の私のように、どの職にも就いていない者がモンスターと戦った場合はレベルアップのような成長は見込めませんよね?」


「そんなことはありません。戦闘系の職業というのはあくまでも資格のようなものです。クライム様のように、戦闘系の職業に就いていなくても、能力の高い方はいらっしゃいます。ただー」


一呼吸置いて、エリザが続ける。

「自らの『コアソウル』に職業を刻みこむことで成長が早まり、スキルや魔法等を覚えやすくなりますので、職業に就かずにモンスターと戦うのはおすすめいたしません」


(ということは職なしでもある程度強くはなるのかもしれないな)


「コアソウル、ですか」


「はい。いわゆる魂のようなものだと言われております。何の情報もない状態ですと、存在を自覚することは難しいかもしれません」


ゲームでは『コアソウル』を覚醒させることで、メインの職業に加え、もう1つサブ職業を設定できるようになり、プレイヤーの能力が上がるようになっていた。


「基本的には、経験を積んだ者から手ほどきを受け、その職業に就いた自分を強く認識することでコアソウルに職業が刻まれます」


「なんとなくわかりました。仮に私が剣士になったとして、すぐに攻撃魔法士に転職するといったこともできたりしますか?」

(ゲームではギルド受付でいつでも職変更できたけど・・)



「可能です。ですが、その場合コアソウルに職業を複数刻むことになり、成長を阻害するといわれております」


(何その設定・・)

「そ、そうなんですね」


「剣と攻撃魔法の両方を使えるようになれば総合的な対応力が上がるのは間違いないと思いますが、仮に同じだけ経験を積んだ剣士のみ、攻撃魔法士のみの方と比べた場合、強さに差が出るそうです」


「なるほど・・。では自分が剣士に向いてないと途中で気づいても、転職はあまりおすすめできないということですね」


「当ギルドとしては、あまりおすすめはいたしません。ですので、最初に職業を選んでいただく際に適正を確認させていただいております。当ギルド所属の冒険者を各職業ごとに指導でお付けいたしますので、その指導を受けた中から、ご自身に合った職業を選んでいただければと思います。少々お待ちください」


「わかりました」

エリザはお辞儀して、受付カウンターから出てクエスト掲示板の方へ歩いていき、何やらクエスト用紙のようなものを貼っている。


(ふーむ)

エリザの説明で職業について、ある程度のことは理解できた。


この世界での戦闘系職業はいわゆる、国家資格のようなもの。

俺は剣士だ、と名乗るのは自由だが、職業としての公的な証明は冒険者や認可を得た者に限るということ。

人を殺傷できる能力を得ることのできる職業に就く人間はある程度管理されているということだろう。


自分の魂、コアソウルに職業を刻んだ状態でモンスターと戦闘することで成長していく。

コアソウルに職業を刻まなくても成長は可能だが、スキル等は覚えにくい。


他者から教えを受ける等のきっかけが必要であるため、自分でコアソウルに職業を刻むことは難しい。


またゲームと違い、一度コアソウルに職業を刻むと転職しても最初の職業がコアソウルに刻まれたままになり、転職後の職業と経験値が分散し、成長しづらくなる。


(どの程度の成長阻害かにもよるけど、ゲームではメイン職業のみでしかカウントされなかった経験値が、サブ職にも得られるということは利点ではあるかもしれない)


「複数の職業で並行して経験値が得られるならいっそのこと、全職刻んでも面白いんじゃ・・」

などと考えているところに、エリザが受付カウンターへ戻ってきた。


「お待たせいたしました。クライム様へ指導をお願いしたい旨の内容で、クエストを発注いたしました」


「え?クエストでですか?てっきりギルド指定の方から指導を受けるのかと」


「昔は実績のあるアイアンランク以上の方に指導をお願いすることが多かったのですが、最近はアイアンランク以下の他の冒険者の方にとってもいい経験になるということで、ギルド長の指示でクエストという形をとらせていただいております。報酬も悪くなく、ギルドへの貢献にもなり、割と人気のクエストなんですよ」


エリザが微笑んだ。


「そうなんですね。来てくださるといいのですが」

苦笑しつつ答える。


「大丈夫ですよ。明日の昼ごろまでには受注する冒険者の方が集まると思います」


「わかりました。明日の昼ごろにまた来ますね。ところでギルドの宿舎の利用は1泊おいくらでしょうか?」


(えーと・・所持金は1400ジールだけど足りるかな)


「はい。1泊1000ジールになります」


(よかったぁ。今から外行って狩りとかしたくなかったし)

「では1泊、お願いします」

1000ジール硬貨を渡す。


「かしこまりました。こちらが部屋の鍵になります。2階の8号室をお使いください」

銀色の鍵を手渡される。


「わかりました。ありがとうございます」


軽く会釈し、2階への階段へ足を向ける。


(腹減ってきたな・・今何時だ)


「宿屋の食事が500ジールだったし、400ジールで何かしら食えるだろ」


2階へ続く階段の手前にある酒場への扉を開いた。

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