第3話:サボり貴族、婚約者に迫られる!?
「ルーク様、エリザベス様がお見えです。」
ジェームズの声に、ルークはベッドの中で寝返りを打ちながら答えた。
「……帰ってもらって。」
「それはできません!エリザベス様は『どうしてもお話がある』とおっしゃっています!」
「面倒くさいなぁ……」
ルークは布団を頭までかぶり、完全に引きこもる構えを見せた。しかし、その瞬間、部屋の扉が勢いよく開かれた。
「ルーク様!」
そこには、真剣な表情を浮かべた婚約者エリザベス・ブルームが立っていた。
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## **婚約者の疑念**
「……何?」
布団から顔だけ出したルークは、眠そうな目でエリザベスを見た。そんな彼に対し、エリザベスは鋭い視線を向ける。
「あなた、本当に何を考えているの?」
「何も考えてないけど?」
即答するルーク。しかし、その言葉を聞いたエリザベスの表情が一瞬だけ揺らぐ。
「……また謙遜するのね。あなたが何も考えていないわけがないわ。」
「いや、本当に何も――」
「いいえ!あなたはいつもそうやって本心を隠している。でも私は知っています。昨日の会議で、あのマックス・ハーディングを退けたのは偶然なんかじゃない!」
「いや、偶然だよ。」
「また謙遜して……!」
エリザベスは拳を握りしめながら、一歩前に踏み出した。
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## **誤解が深まる**
「私はずっとあなたのことを誤解していたわ。怠け者だとばかり思っていた。でも違った。あなたは全て計算して行動しているんでしょう?」
「計算なんてしてないけど?」
ルークが正直に答えると、エリザベスはさらに感動したような表情になった。
「なるほど……!自分の真意を隠すことで敵を欺く。それがあなたの戦略なのね!」
違う!全然違う!
ルークは心の中で叫んだが、それを口に出す気力すら湧かなかった。ただただ面倒くさい。この状況から早く逃げたい――それだけだった。
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## **目を引くエピソード:花壇事件**
その時だった。窓の外からメイドたちの悲鳴が聞こえてきた。
「きゃー!誰か止めてください!」
どうやら庭園で飼われている大型犬が暴れているらしい。花壇を荒らし回り、メイドたちは手も足も出ない様子だ。
「あーもう……」
ルークは渋々立ち上がると、大きなため息をついて窓辺に向かった。そして適当に手元にあったパンをちぎり、それを犬に向かって投げた。
すると――
暴れていた犬はパンを見るなり大人しくなり、その場で座り込んだ。
「あれ?落ち着いた?」
ルーク自身も驚いていると、後ろからエリザベスが感嘆の声を上げた。
「なんという冷静な判断……!犬が食べ物で落ち着くことまで計算済みだったなんて!」
いや、ただパン投げただけなんだけど?
しかし、その光景を見ていたメイドたちまで感動し始める。
「さすがルーク様!」
「犬まで従わせるとは……!」
こうしてまた一つ、「ルーク・ラザフォード伝説」が生まれてしまった。
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## **婚約者との距離**
事件後、エリザベスは改めてルークに向き直った。そして真剣な表情でこう言った。
「私、決めました。これからもっとあなたのそばで学びたいと思います。」
「えっ?」
突然の宣言に、さすがのルークも目を丸くした。
「あなたのような人間になりたいんです。だからもっと近くであなたの行動や考え方を見せてください!」
いやいや待って。それ絶対面倒くさいやつじゃん!
心の中で叫ぶルークだったが、エリザベスの熱意に押されて何も言い返せなかった。ただ一つだけ確信していることがある――
**平穏無事なサボり生活への道は遠い。**




