第2話:サボり貴族、ライバル登場
朝。いつものように寝坊したルークは、ジェームズに起こされて渋々起き上がった。
「ルーク様、本日は重要な会議がございます。お父上もご出席されますので、遅刻なさらぬようお願いいたします。」
「はぁ……面倒くさ。」
ルークは不満そうに呟いたが、ジェームズはそれを「深遠なる洞察」と勘違いし、感心した様子で頷いていた。
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## ラザフォード家の闇
会議室に向かう途中、ルークは壁に飾られた肖像画を眺めた。そこには厳めしい表情の男性が描かれていた。
「ジェームズ、あれは誰だ?」
「はい、あれは先代当主、つまりルーク様の祖父です。彼は……」
ジェームズは少し言葉を濁した後、続けた。
「彼は帝国内で最も恐れられた貴族の一人でした。多くの商家や小貴族を破滅させ、ラザフォード家の権力を不動のものにしたのです。」
ルークは眉をひそめた。どうやら、この家には暗い過去があるらしい。
「現在のお父上も、その血を引き継いでおられます。ルーク様にも、いずれはその役目が……」
「いや、俺はパス。面倒くさいし。」
ルークの言葉に、ジェームズは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに「さすがです!悪役を演じることで、真の善を成すおつもりですね!」と誤解してしまった。
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## ライバル、マックス・ハーディング登場
会議室に到着すると、そこには既に多くの貴族たちが集まっていた。中でも目を引いたのは、颯爽とした雰囲気を漂わせる黒髪の青年だ。
「やあ、ルーク。今日も寝ぼけ面かい?」
挑発的な口調で話しかけてきたのは、ハーディング伯爵家の嫡男、マックスだった。
「ふあぁ……おはよ。」
ルークは大あくびをしながら返事をした。その態度にマックスの顔が歪む。
「ふん、相変わらず怠惰な奴だ。お前みたいなのが次期当主候補とは笑わせる。」
マックスの言葉に、周囲がざわついた。ラザフォード家の跡継ぎ問題は、貴族社会の大きな関心事だったのだ。
しかし、ルークは「へー」と適当に返事をするだけで、全く動じる様子がない。
その態度にマックスはさらに苛立ち、「今すぐここで勝負しろ!魔法の腕比べだ!」と挑発してきた。
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## 意図せぬ大勝利
「いや、面倒くさいから。」
ルークの返事に、会場が凍りついた。マックスは勝ち誇ったように笑う。
「ほら見ろ!こいつは臆病者だ!」
しかし、その時だった。
「いや、違う!」
エリザベスが突然割って入った。
「ルーク様は、魔法なしでマックスを打ち負かすつもりなのよ!だから魔法での勝負を断ったの!」
「えっ?」ルークが困惑する間に、周囲から「さすがルーク様!」「恐るべき自信!」という声が上がった。
マックスは焦った様子で、「ば、馬鹿な!」と叫ぶ。
その時、マックスが後ずさりした拍子に、背後の花瓶を倒してしまった。ルークは反射的に手を伸ばし、花瓶をキャッチ。
「おっと。」
その一部始終を見ていた貴族たちから、大きな拍手が沸き起こった。
「なんという反射神経!」
「魔法なしでこの動き!」
「ルーク様の勝利だ!」
マックスは真っ青な顔で、その場から逃げ出してしまった。
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## 誤解は深まるばかり
会議が終わった後、ルークは疲れ果てた様子で自室に戻った。
「はぁ……なんでこうなるんだ。」
ベッドに倒れ込んだルークの元に、ジェームズが興奮した様子で駆け込んできた。
「ルーク様!素晴らしい采配でした!あなたの計略で、ハーディング家の威信を下げることに成功しました!」
「いや、俺は何もしてないって。」
「おっしゃる通りです!何もせずしてこれほどの成果を上げるとは、さすがはルーク様!」
ルークは深いため息をついた。どうやら、彼の「サボり」生活は、思わぬ方向に転がり始めているようだった。
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