表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

Ⅲ Ⅰ章「消えた後の世界」

   Ⅲ Ⅰ章「消えた後の世界」




 3年前、ある人間が。化け物と共に消えた。

それはある一部の人間の心にぽっかりと穴を開け、それ以外の人間は。

そんなこと、知るはずもなかった。

霧也の消失。行方が未だにつかめていない。

美佳は依然と落ち着きを取り戻せないまま。



3年の月日がたったのだ。

心のよりどころをいきなり無くせば、誰だって混乱に陥ってしまう。

それは人間なら仕様のないことだ。

だけれど、2年もたてば人間はそんなことも忘れたようにまた落ち着きを取り戻し完璧にいつもの調子に戻る物なのだ。

だが美佳の場合は、未だに常時上の空状態。

落ちつきも何もあったものじゃない。

それどころか、もう全てがどうでもよいと言った感じで感情を失ったような声で、口調で喋っている始末。宗にまで手を焼かせ、イタリア人二人も甚だ困り果てているのだ。



 仕事も美佳は億劫になり、今や宗とイタリア人二人にまかせっきりである。

美佳は常に家でぼけーっとしている。

霧也を失った悲しみ、喪失感はなによりも大きいのだ。



 

 昔から美佳は、ずっと独りだった。戦争で両親を亡くし、ずっと独り。

そして変な研究に明け暮れもした。

そんな美佳の唯一の支えになっていたのが、霧也だった。

霧也にだけは気を許せたし、霧也にだけは自分を見せれた。

いつしか霧也が全てになっていた。

霧也の為ならなんだってしよう。必要とあらば悪事にだって手をそめよう。

霧也が望むものは与えてやりたい。

霧也の望む関係になりたい。霧也のことが大好き。霧也もそう言ってくれた。

なのになんでこんなことになるのだろうか。

そんなことを神様に問いかけて問いかけて毎晩毎晩飲めないお酒を飲んでいる。

 


 「古園、帰ったぞ」

 「ただいまぁ~今日の収入は半端なかったでー美佳ちゃん~」

 「100000円。」

 「…そう。」


いつの間にかイタリア人の似非土佐弁、似非京都弁はとれている。

そして、美佳は異常にそっけない。理由は前述の通り。


 「今日の晩御飯は美佳ちゃんの好きなカルボナーラぁ~」

 「塩のおにぎりも。」

 「ほら、古園。好物ばかりだぞ」

 「うん、ありがとう。」

 「今から作る。待ってて。」


ガチャリとドアの開く音がする。

その中に、一人の姿。

ぼっさぼっさの長い髪の毛。

目をこすりながらゆっくり、ゆっくりとソファーに向かい。

そして、ぱたっと倒れこんだ。


 「みんなおかえり…」

 「アクアちゃんも、何元気なくしてるんすかー。明るくいないと、霧也帰って来た時に悲しみますよ~?」

 「霧也は、死んだの。もういないの…いくら思念送っても…だめ。もういないの何処にも…居ないもん…」

 「ほらぁ、また泣く~…なんぜー?

悲しいのはわかるけど、こういう時だから明るくしとくんさぁ」

 「そうだ。こういう時だからこそだ。アクア、お前が生まれてからずっと霧也の傍に居たのは分かっている。だが、いつまでめそめそしているつもりだ? そんなお前の姿をあいつが望んでいるとでもおもうか?」

 「それは…」

 「古園もだ。本当にあいつの事を想うのであれば、明るくいろ。あいつは楽しいのが好きだった。違うか?」

 「そうすよ、美佳ちゃん。アクアちゃん。

…そうだ、今度みんなでイタリア旅行行くっす!」

 「ふぇ…?」

 「賛成。イタリアで心身ともに休める。良い考え。」

 「そうだな、それは良い考えやもしれん。俺も賛成。」

 「二人が反対したってー、多数決で決まりっすよ」



 「…わかった。ありがとう」


 霧也が消えた後。いろいろあってみんな変わってしまった。

イタリア人二人ですら、口調も態度も変わった。

カッミノは土佐弁から、「~っす」と変わり、性格は少しおとなしくなった。

コッロは、以前から無口だったが。ほんとに無口。単語単語の言葉しか喋らなくなった。



 唯一宗だけはさして変わらない。

美佳やアクアは言うまでもなく…酷く荒んでいる。

大好きな人がいなくなれば誰だって荒む。

美佳にとっては恋人を失い、アクアにとっては兄妹のようなものを失った。

そんな途方もない喪失感は、味わった人間にしか分からない。いくら綺麗事を並べたところで同じ傷を持った経験のある者にしか癒すことはできないのだ。

 





 アクアは、生まれてずっとずっと霧也と一緒だった。一緒に訓練を受けて、一緒に戦場を駆った。

いつも一緒。二人で一人。

この関係は絶対壊れない、何があっても続く。

そう二人は信じて疑わなかった。

お互い言葉では表せないほどの信頼関係で結ばれ、笑って。笑って。笑って。泣いて。泣いて。泣いて。泣いて。

怒って。

ずっとずっと…

だけど現実は違った。

壊れてしまった。なんで?

そんなもの神様でさえも分からないだろう。

自分達は神に見捨てられたのか?

自分達は普通の人間ではない。神を信仰している者が。神を侮辱するような存在なのだ。

神も見捨てるだろう。


 「 Dio.

Voglia quello che noi portiamo a termine sia corretto?

Voglia il modo che noi superiamo avanti sia corretto?

Per favore l'insegni.

Il fato sarà vero?

Se Lei lo decide, io sopporto piuttosto un rancore.」

イタリア語の部分は、

ルビの振り方わかんないんですよね。。



さてと、感想は

ブログの方に

おまちしてます


こっちでもいいですよー^^

http://playlog.jp/gzza/blog/



お待ちしてますね^^


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ