たーくんの不思議なお弁当箱
たーくんは、うさぎさんマークのお店でお弁当箱を買ってもらいました。たーくんの大好きなわんちゃんたちがふたに描いてあるお弁当箱です。
「たーくん、しまっておこうね」とママが両手を出したけれど、たーくんはお弁当箱を抱えたまま、首を横に振ります。
たーくんはお弁当箱に、どんぐりを詰めます。
すると、りすさんたちが遊びにきてくれました。
「たーくん、おいしそうなどんぐりをありがとう!」
りすさんたちはどんぐりを持っていきました。
たーくんはお弁当箱に、工作でつくったおにぎりを詰めます。
すると、ヤギさんが遊びにきてくれました。
ヤギさんは紙を食べようとします。めえめえ。
たーくんは、自分が工作でつくったおにぎりを食べられたくありません。たーくんとヤギさんは、紙のひっぱりあいになります。
「どうして〜」
ヤギさんは悲しそうに帰って行きました。
たーくんはお弁当箱に、おもちゃ箱のなかのピザやケーキやウインナーを詰めます。たーくんの好きなものばかりです。あと、お寿司を詰めたら完成です。ふたが閉まらず、たーくんはただ、ぎゅうぎゅうとだけします。
すると、たーくんのお弁当箱の中身は本物になって、ピカピカとあかるく光っていることに気がつきました。
たーくんはびっくりしてふたを閉けると、お弁当箱をパパとママのところに持って行きました。
「わあ、たーくんがつくったお弁当、すっごく美味しそうだね」
「ほんとうだね、食べてもいい? たーくん」
たーくんは頷きます。
「おいしいよ、たーくん」
「おいしいね、たーくんは料理上手だね」
パパとママはおいしいおいしいと、たーくんの作ったお弁当をたくさん食べてくれました。
「たーくん、お弁当箱抱えたまま寝ちゃったね。よっぽど気に入ったんだね」
「幸せそうな顔をして寝ているね。
どんな夢を見ているのかなあ?」