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後宮もふもふ事件手帖  作者: 高岩 唯丑
珊瑚の宝石

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それを疑っておるというのじゃ

「……実が青い」


 木に実っている柿はすべて青かった。一つも熟している実がない。まだ全く熟していないのだ。


「それがどうしたのじゃ?! 何かわかる事があるのか?」


 傍でチーヒが騒いでいるが、それに応じていられないほど訳が分からなくなっていた。チュンジャオは実が熟していたと言った。あれは確かに嘘をついていなかった。噓の匂いがしなかったのだ。だから実を取った後か、その前に何かの仕掛けが施されたと考えていた。これではただ青い実をチュンジャオが取って帝に出しただけだ。それ以外に考えられない。


 しかし、悪意がなかった。害意もなかった。それらを確認したが、嘘をついていなかった。チュンジャオは青い実を熟していると思って帝に出したという事になる。


 考えられるとしたら、チュンジャオが精神を病んでいたという可能性だ。すでに青い柿さえ食べられると判断してしまう、もしくは幻覚のような物を見てしまう、そんな精神状態だった可能性がある。むしろそれくらいしか考えられないのでは。


「……チーヒ様、確認したい事があります」


「なんじゃ、何でも聞くのじゃ!」


 一瞬どう問いかけるか悩んでしまう。チーヒはチュンジャオを信じている。精神的におかしかったのではと問いかければ、あまりいい反応はしないだろう。受けれられない可能性がある。


 しかし問わなければ始まらない。私は意を決して言葉をなげかけた。


「最近、チュンジャオ様の様子がおかしくありませんでしたか? いえ、はっきり問いましょう、精神的におかしかったと感じる行動はありませんでしたか?」


「な?! お主まで疑っておるのか?! チュンジャオは普通だったのじゃ! おかしくなってなどおらん!」


 そう言いながらチーヒはこちらに飛び掛かってくる。寸前の所で、ソンシャン達が抑えてくれたおかげで、目の前でチーヒは止まった。


「疑っているわけでは、可能性の話です」


「それを疑っておるというのじゃ! 信じておったのに! やはりあやつの手下か!」


「チーヒ様! 落ち着いて!」


 抑えられている所から、さらに身を乗り出そうとしてくるチーヒ。公平に見極められる状態ではなかったかもしれない。


「ソンシャン様、チュンジャオ様の最近の様子でおかしなところはありませんでしたか?」


「い、今ですか?!」


 必死にチーヒを押さえながらソンシャンが問い返してくる。もっともな疑問だが、確認しておきたかった。


「聞いたらすぐ姿を消しますので」


 離すのじゃ、一発入れてやるのじゃ、と騒いでいるのを見ると、今はチーヒの前に居ない方が良い。


「侍女から見ても、おかしい所はなく、普段通りでした!」


「わかりました、ありがとうございます」


 申し訳程度に頭を下げて、すぐにその場を離れた。後ろの方からチーヒの声が聞こえてくる。急ぎ足でシーリウデンの敷地外へと出た。

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