表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後宮もふもふ事件手帖  作者: 高岩 唯丑
後宮案内と宦官の思い
8/90

謎の行動

 カイレンのその行動にチュウは疑問を浮かべる。なんなんだろう、本当に。移動している私達についてきている。仕事の為に入った部屋にカイレンも一緒に入ってきた。そこでチュウから指導を受けていると、その間ずっと視線を感じていた。


 私はもしかして、試されているのだろうか。いや試すにしては何もしてこない。見ているだけだ。あと可能性があるとすれば、メイユーの命を狙う刺客ではないか確認しているといったところか。いや、それなら尻尾を出す様にバレないよう監視した方が良いだろう。そんな事さえ分からないカイレンではないと思うが。


「あの、チュウさん」


 たまらなくなってチュウに小さく声をかける。


「……もしかして、カイレン様の事ですか?」


 同じ様に小声で返してくるチュウ。やはり、気になっていたのだろう。


「はい……もしかして新入りにはあの様に張り付くのが常なのでしょうか?」


 そう問いかけておいて、違うだろうなと考えてしまう。張り付くのが通常の事ならチュウのこの反応はおかしい。こんな風に気にしないはずだ。


「あんなの初めてですよ」


 やっぱり、これは特殊な状態らしい。チュウが少し考える様子を見せた後、言葉を続ける。


「……もしかして、何かやらかしましたか?」


「まだ来たばかりですよ、何も思い当たりません」


 ここに来て、ヨウズデンから一歩も出ていない。それどころかあまり部屋から出ていない。やらかしようがない。


 少しだけカイレンの方に視線を送る。気のせいかもしれないと考えたが、そんなことは無かった。確実に私を見ている。しかも、私の視線に気付くと、眉を少し動かしてからゆっくりと顔を背けた。


「どちらかというと」


 今の反応を見ていたチュウが、顔を近づけて来て言葉を続ける。


「シャオグーを気にしているという感じでしょうか」


 そんな事を言いながら、少し安心したように小さくため息をつく。安心できる要素が何もなかった気がするが。もしかして自分には被害が無い、と安心したという事か。裏切者め。


「あぁ……あれだ」


 突然声がして、顔を向ける。カイレンは先ほどと変わらず顔を背けたまま声をあげていた。今の密談を咎められるのだろうか。一応、体をそちらに向けて、視線を下げる。チュウも少し遅れて動いた音が聞こえた。恐らく同じ様にしたのだろう。


「いや、違うのだ、その様な態度は必要ない」


 私達の姿を見ての事だろう。少し慌てた様子でカイレンが言った。咎められるわけではなかった。とりあえず姿勢を元に戻す。


「では、どのような」


 さすがにチュウも、困惑しているらしい声だ。その態度から見るに、カイレンがこれまでこんな態度を取った事がないのは明白だった。何かあったのだろうか。言い難い何かが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ