シーリウデンの三姉妹
赤い侍女服を着ている七人の集団。その中にもまとまりがあり、私と同じくらいの歳の三人がまとまっている。全員が揃って暗い顔をしているが、三人が特に辛そうな表情で少し俯いていた。言葉も一切交わしていない。さすがにあんな事があって沈んでいるらしい。年齢も近いし、あの三人に近づく事にする。
「あの、一緒にいいでしょうか?」
「?! い、いっしょとは?」
揃って驚いた後、三人の代表なのか真ん中の娘が声をあげる。
「準備をです、ご一緒してよろしいですか?」
最初に私の耳に視線が行き、侍女服を着ていない事に疑問を抱いたであろう表情を浮かべて、かんざしを視線が捕えた様だった。他の四人がそそくさと離れて行くのが、視線の端に映る。この三人は逃さん。そんな圧を発していると、諦めたように代表の娘が「も、もちろんです」と恐ろしげに答えた。
それから四人で一緒に飾り付けをしていく。といっても会話は全く起こらない。結局名乗ってもいない。突然やってきた獣憑きと仲良くできる人は一部の人だけだ。加えて沈んだ気持ちの中で、気を使って会話を振るという事もできないのは明らかだった。
だがある意味これは収穫だった。これだけ沈んでいるという事は、この三人がチュンジャオを陥れた犯人という可能性は、低いと考えていいだろう。
「あの、大変ですね」
「はい? 何が、でしょう?」
代表娘が恐る恐る、といった感じで返してくる。口止めでもされているのか。だが惚けている感じでもない。
「シーリウデンのチュンジャオ様の事です」
「?! あぁ……」
口ごもると、他の二人と顔を見合わせる。それから頷き合って、代表娘が口を開いた。
「えぇ、まぁ……チーヒ様が助っ人を呼んだから絶対大丈夫と仰っていましたし」
信頼はしているが、それでも心配という事だろう。三人とも飾り付けの手を止めてしまい、両手を胸の前でキュッと握りしめる。
助っ人というのは、おそらく私の事だろう。自意識過剰でなければ。
「その助っ人なのか分かりませんが、チーヒ様から助けてほしいと頼まれ調査しています」
「あなたが?! えっと」
今さらになって、名乗り合っていない事に気付いたらしく、代表娘が口ごもる。
「シャオグーと申します」
名乗ってから、軽く礼をする。それを受けて代表娘たちも名乗ってくれた。代表娘が松香、そのほかの娘がそれぞれ竹香と梅香という事だ。
「三姉妹なのですね」
雰囲気は似ているが、顔は似ていない。まぁそういう姉妹もいるだろう。
「? いえ、他人ですが」
ちょっと不思議そうな顔をされてしまった。名前の印象からみんなそう思うだろう。というか偶然連番のような名前だったのなら、そりゃ仲良くなる。




