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後宮もふもふ事件手帖  作者: 高岩 唯丑
珊瑚の宝石

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何があったのか

「……私は柿の木からいくつか柿をもぎり、盆にのせました」


「いくつですか?」


「……三つだったと思います」


 柿が青くなる仕掛けを施したのだろうか。だが、柿の木からどれを取るか分からない。しかも三つ取っている。


「カイレン様」


 声をかけるとカイレンが辛そうに「なんだ?」と返してくる。


「柿は三つとも青かったのですか?」


「……そう聞いている」


 三つとも青かった。そうなると柿の木全体に、何か仕掛けを施したという事だろうか。私は少し考えた後、チュンジャオに続きを促す。


「盆にのせた後、そのまま帝とチーヒ様の所に向かい、柿をお出ししました」


「誰にも会っていませんか? あるいは柿ののった盆を手放した瞬間、目を離した瞬間は?」


「会っていません、柿もすぐにお出ししました」


 そうなると、仕掛けがされたとしたら柿を木から取る前という事だ。


「何かわかっただろうか?」


 カイレンの弱々しい声が、聞こえてくる。そこまで心配するほど世話になった人物なのか。まさか好いているとか、そういう事ではないだろうな。もや。いや今は雑念を捨てよう。


 カイレンの言葉を無視して、チュンジャオの顔をじっと見つめる。チュウより歳を取っている。おそらく四十代後半ほどだろうか。もうそろそろ後宮で侍女をやるには限界の歳だと思う。引退の話も上がっていたのではないだろうか。そんな時期に罪人になってしまうのは確かにしのびない気がする。カイレンはそれを考えて、落ち込んでいるのだろう。きっと。好きとかじゃない。絶対違うもん。


「シャオグー?」


「……大丈夫です」


 顔を横に振ってから、改めてチュンジャオに問いかける。


「侍女は長いようですが、誰かから恨まれている覚えはありませんか?」


 一瞬息を呑むのが聞こえる。それからチュンジャオは慎重に声をあげた。


「ない、と思います」


 自信なさげな声が聞こえてくる。後宮に勤めている期間が長いおかげで、いろいろわかっているのだろう。正直、どこで誰に恨まれるか分からないのが後宮だ。そういう場所なのだ。


「では、あなたは帝を恨んでいませんか? 憎んでいませんか?」


「そんな事! そんな事あろうはずがありません!」


 即答。それに嘘の匂いもしない。信じていいだろう。これでチュンジャオが、害意をもって青い柿を出したというのは、無くなった。


「わかりました、信じます」


 私の言葉を聞いたチュンジャオが、ほっと息を吐く。とりあえず、誰かがこの人を貶めたか、この人を使って帝を狙ったのか、それを確かめなければ。それからその方法だ。

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