ユンの出自
なぜか感じてしまった恥ずかしさを紛らわそうと、話題を探す。
「あの、気になったのですが」
勢いでそう口にしたものの、まだ話題を見つかられずにいた。声をかけられて「なんだ?」とユンが満面の笑みで返してくる。どうしようか。そう悩んでいるうちに、ユンが椅子に立てかけた剣が目に入った。
そういえばなぜ剣舞をやりたいと言い出したのか、推測ができない。今までユンとそれほど話した事がなかったからかもしれない。丁度いい。
「どうして、剣舞をやりたいと?」
「ん、あぁ……そりゃ気になるよな、今まで聞かれなかったから誰にも話してこなかったんだ……そのせいで皆に聞かれてるよ、ははっ」
みんな同じ疑問を抱いたらしい。ユンが剣を使えると言ったら、すんなり納得できるが、剣舞がやりたかったと言ったら疑問が湧いてしまう。ユンには失礼かもしれないが、そんな舞と名の付く雅な事をする姿が想像できないのだ。
「実はな……いや、実はなんて勿体ぶる事でもないんだけど」
「はい」
「アタシの家は代々武官になってんだ、そういう家系っていうか、そういう奴らが多いっていうか」
驚く事ではなかった。単純に腕っぷしが強いか、そういう所で育ったか、普段のユンを見ていればどちらかの想像に行きつく。確かに、実はなんて勿体ぶる事でもない。
「代々武官という事は、貴族という事ですか?」
「いやいや!」
少し大袈裟に手を振って否定するユン。貴族なんて滅相もないと言う様な感じだ。
「そんな大層なもんじゃないよ、平民でみんな武官として仕官してるんだ、みんなそういう選択をしてるってだけだな」
代々武官を輩出している貴族の名門という事ではないらしい。平民で武官になる家族。なんとなくユンの家族の姿が簡単に想像できる。みんなこういう感じなんだろう。
「まぁそれで、子供の頃から女だろうが武芸を仕込まれる、アタシも例にもれず武芸を学んでた」
なぜかユンが少し寂しそうに呟く様に続ける。
「最初は特に疑問に思わずやってたんだ、楽しかったしな」
「最初はという事は……嫌になったんですか?」
「あっ、いや、違うかな……言葉を間違えたというか……何て言えばいいか」
ユンが迷ったような仕草で顎を撫でる。もしかしたら好きな物を見つけてしまったという感じだろうか。ここから剣舞が登場してくるなら、そういう流れかもしれない。こちらからこういう事をするのはおかしい話だが、助け舟を出すように問いかける。
「好きな物を見つけた?」




