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後宮もふもふ事件手帖  作者: 高岩 唯丑
ユンの希望

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久しぶりのやりとり

 謝蚕祭。名前からして養蚕の収穫を喜び感謝する祭祀だろう。蚕は女性の象徴と考えられているから、後宮で養蚕関係の祭祀が行われているのだ。


「何だかシャオグーが頼りになる物だから、忘れていました……まだ新人だから謝蚕祭を経験していなかったんですね」


 チュウが遠い所を眺めながらそんな事を口にする。嬉しくなるはずの場面なのに、何だか悲しくなる。原因は、まぁアレだろう。


「とりあえず、詳しい話は後ほどしましょう」


 仕事の時の表情に戻ったチュウが言葉を続ける。


「少し話し込みすぎましたね、メイユー様にお目覚め頂かなければ」


 そのためにメイユーの部屋の前に来ているのに、随分話し込んでしまった。話はこれで終わりという感じで、チュウが部屋の扉に手をかける。


「そういえば」


 ふと思い出した事があった。それを聞いてチュウがこちらを振り返る。


「ちゃんと起きれますよ、メイユー様」


 チュウが熱を出した時の事だ。それを伝えた時はすぐさま起きていた。いつものようにうだうだとしないにしても、もう少し気だるそうにしててもおかしくないはずなのに、バッチリと目を覚ましていた。つまりいつものは怠惰というか、私達を困らせて喜んでいるという事かもしれない。


「……考えない様にしましょう」


 チュウが諦めたように声をあげると、扉の方に向き直る。もしかして気付いていたのかもしれない。


「はい」


 チュウがそういうのなら、もう何も言うまい。




「シャオグー」


 ヨウズデンに訪ねてきたカイレンを客室に案内すると、部屋に入るや否や少し食い気味に声をかけてきた。振り返って見ると、毎度の事ながら視線が私を見ていない。尻尾を振ってみると、視線も同じように動いた。またこれか。少し呆れ気味に返答をする。


「なんでしょう」


「話を聞いたぞ、お手柄だったらしいな……褒美にな」


「褒美になっていないので結構です」


 いつも最後まで言う事ができないからなのか、今日は心なしか早口で最後まで言い切ろうとした気がする。いや、いつもこれくらいだったか。何だかこのやりとりが久しぶりで、少しわからなくなっている。別にちょっと嬉しくなんて思っていないが。


 カイレンの足音を聞いて、すぐに出迎えに行ったりしたわけではなく、あくまで偶然最初に出迎えたのである。いろいろゴタゴタしていたせいで軽く顔を合わせていただけだったから、つい小走りになってしまったという事は、ない。


「まだ何も言っていないぞ」


「聞かなくてもわかります」


 壁際に立ちながらそう返す。カイレンも少し不満そうに席に座った。

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