メイユーの出自
「チュウさんは、少し人に頼る事を覚えてもらわないいけないわね」
「そうですね」
チュウは人のお世話をしすぎる。任せても心配して様子を見たり、助けたりしてしまう。悪い事ではないと思うが、それで倒れてしまっていては元も子もない。
「加えてかかってる負担も多いから、減らすようにしないといけないわね」
「チンインとグイファが来てくれたので、掃除はすべて任せられると思います」
「あぁ、確か掃除の下働きだったわね」
二人の掃除の手際は素晴らしい。ヨウズデンのすべての掃除の管理を任せられる。チュウが二人を見てそう言っていた。おそらくかなり負担が減るだろう。
「二人がここに慣れてくれれば、このような事はもう起きないかと」
そうありたいという希望もある。そうならなければいけないという目標でもある。
「……よかったわ」
メイユーが呟くように言うと、そのまま黙ってしまった。二人の間に沈黙が流れる。報告はもう終わったから、そろそろ帰ろうか。そんな事を思って、その場を離れようとした時、メイユーがポツリと言葉を零した。
「本当なら、私がチュウさんを使うなんておこがましいのだけど」
「? おこがましいという事はないのでは?」
メイユーの様な身分の人が、侍女を使う事におこがましさなど感じる必要はないと思うが。自己評価が低いせいで、それがおこがましいとでもいう事か。だがメイユーはそういう人間ではなかったはずだ。自信満々という訳ではないが、自己評価が低くもない。
「話す機会がなくて、私の事を話してなかったわね、良い機会だから聞いてくれるかしら?」
「……はい」
メイユーの事。人となりはわかっている。それだけ分かっていれば問題ない気がするが。何か重要な隠し事でもあるのだろうか。
少し聞くのが怖い気もする。何でもない所でさらりと話してもらった方が、気持ちが楽だったのに。メイユーも妙に間を溜めているのが憎たらしい。
「私ね……」
そこまで言ってメイユーはこちらに顔を向ける。少し身構えてしまう。わざとやっているのだろうか。
「下級の貴族のでなのよ、身分の低い人間なの」
「……下級、ですか」
とんでもない秘密ではなかったが、なかなか驚きの事実だった。上級側妃はみな上級の貴族の娘ばかりだと思っていた。いても中級の貴族の娘。政治的な思惑によって嫁いできた者たち。
まぁ帝が気に入って上級側妃にすると言えば、通るのだろうが。メイユーはその口だろうか。人に取り入るくらいお手の物という気もするし。




