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後宮もふもふ事件手帖  作者: 高岩 唯丑
メイユーとチュウ

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乗り切りますよ

 医官がおもむろに立ち上がる。部屋の出入口に向かって歩き始めると、すぐに一瞬足が止まった。その視線の先には心配して様子を見に来たチンインの姿があった。医官はチンインの騒動の被害者だ。良い感情を抱けるはずがない。最もチンインの方は全く気付いていない様子だが。


 気付いていない相手に、感情を込めた視線を送り続けるほど虚しいものは無い。医官は小さくため息をついて「それでは失礼します」とこちらに顔を見せる。軽く頭を下げると、部屋を出て行った。


「チュウさん、ごめんなさい、無理をさせてしまったわ」


 そう呟きながら、メイユーは寝台の側の椅子に腰かけた。それを聞いたチュウが、力無く顔を横に振る。


「いえ、謝るのは私の方です、もうすぐ謝蚕祭(シエ ツァン チー)があるのに」


「気にしないで、二、三日休めば回復するって聞いたでしょ? 謝蚕祭の準備が始まるのは、まだもう少し先のはずだから、その頃には完全回復よ……今は休んで」


「ありがとうございます」


 弱々しくチュウが声をあげると、目をつむる。力が抜けた感じがしないから、眠ったわけではない様だ。


「シャオグー、仕事の事、任せられるかしら? 私はチュウさんの様子を見ていたいの」


「はい、もちろんです」


 任せてもらえるほど仕事をこなせていないが、他の侍女で任せられそうな者はいない。私が一番マシに思える。自惚れではなく。


 とりあえず、ここにいてはチュウが休めない。心配そうに見つめるユンとグイファを連れて外に出る。


「チュウさん大丈夫なの?」


 チンインが我慢出来なかったという感じで問いかけてきた。ただの人間には医官の声は聞こえなかったか。


「大丈夫です、二、三日休めば回復すると」


「……よかったわ」


 力が抜けたように少し息を吐くのが分かる。まだそれほど親しくなっていないはずなのに。グイファも先程の医官の言葉を聞いた時に同様の反応をしていた。ヨウズデンの仲間として上手くやっていけそうだ。


「さて、大丈夫ってわかったからな、仕事に戻るか」


 楽観的な声をあげるユン。この状況を理解できていない所は、さすがと言わざる負えない。あるいは大物なんだろうか。


「私もできることはやるよ」


 いつの間にか姿を見せていたミンズーが、力強く頷きながら声をあげる。状況をちゃんと理解しているのが分かるだけで何だか安心する。


「ではミンズーには、来客があった際の対応を……事情を説明すれば分かってもらえるでしょう……たぶん出迎える余裕はないので」


 来客をほったらかしにするわけにもいくまい。せめて事情を説明すれば、最低限の礼儀は果たせるだろう。


「今日一日、乗り切りますよ」

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