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後宮もふもふ事件手帖  作者: 高岩 唯丑
愛があれば

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真実

「思い込み妊娠です……私の造語ですが」


 思い込み妊娠とは言葉通りの意味で、妊娠したと思い込んでしまう事だ。思い込むだけなら、それほど問題ないが、思い込みが激しい人物の場合は厄介である。つわりが来てしまうし、月の物が来なくなってしまう。そういう妊娠の症状が起こってしまうのだ。今回のチンインがまさにそれだった。しかし、所詮は思い込みだ。お腹は大きくならない。チンインの少しお腹が膨らんでいると言っていたのは、偶然お腹が張っていたか、思い込んでいたせいでいつも通りなのに勘違いしたかだ。


 そんな訳で医官が勘違いしてしまっても仕方がなかった。お腹を切り開くわけにはいかないから、妊娠初期では症状のみで妊娠かどうか判断するしかないのだ。ましてやチンインはただの下働き。皇后や側妃たちを診断するように、慎重に決断を下すような事は無い。加えて一大事であると、できるだけ早く報告したのも原因だろう。もう少し時間をかけてゆっくり経過観察していれば、気付いていたはずだ。仕方がなかったとしか言いようがない。


「よく知っていたな」


「商家で見聞きできる事は、意外と幅広いのです」


 カイレンの言葉に、私は軽く頭を下げて見せた。


 得意げに見せたものの、なぜか少し引っ掛かりを覚える。商家ではいろいろな情報が入ってくる。しかし、こんな医学系の話までは入ってこなかったのではないか。この話をいつ聞いたのか思い出せない。本当に商家の下働き時代に聞いたのだろうか。


「それでチンイン」


 カイレンの落ち着いた声に、深く思考しそうになっている所を引き戻される。


「……はい」


 体を強張らせたチンインが、小さく頭を下げた。申し訳なさと、悔しさの様な物が混ざった表情が、下げた頭の影から見える。


「シャオグーから推測は聞いたが、きちんとした真相を聞きたい、そろそろ現実を受け入れて話してくれ」


 少し体を震わせるチンイン。推理を聞かせた時に、頑としてそれを受け入れなかった。絶対に妊娠している、と言い張ったのだ。まぁそれぐらいでなければ、思い込み妊娠などしない。仕方がなかったので一か月待つことになった。お腹が大きくならなければ、現実を受け入れるしかないのだ。そして、十分待ったがお腹は大きくならなかった。


 顔をあげたチンインが、息を大きく呼吸をした。認めたくない現実を、無理やりにも受け入れるためだろうか。それでも一瞬顔を歪めて、肩に回されていたグイファの手にそっと触れて、やっと口を開いた。

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