グイファの嘘
「何をしている」
おそらくいきなりの事で呆けていたカイレンが、そう口にしながら私の肩に手を置いた。とりあえずもう調査は終わったので手を引く。グイファは顔を赤くして、その場に座り込んだ。
「すみません、大丈夫ですか?」
「何をするんですか!」
腰が抜けてしまったのか、座ったままこちらを見上げる様にして、グイファが抗議の声をあげる。座り込んでしまうほどだっただろうか。本当なら服を剥いで裸にして確認したかったくらいなのだが。これくらいに留めておいた事を褒めてもらいたい所だ。
「そうだ、突然何をするのだ」
カイレンも少し怒っている様だった。確かに突然だったかもしれない。だが、説明して拒絶されるのも厄介だったし、隠す方法があった場合はより厄介だ。だがいきなり確認すれば拒絶もさせず、隠し立ては出来ない。
「グイファさんが男ではないかと思ったので、確かめさせてもらいました」
「そ、うか……しかしもっとやりようがあっただろう」
「まぁ、説明して拒絶されたり隠されたりしたら困るので」
とりあえず、グイファの腕を掴み立ち上がるのを手伝ってやる。それからカイレンに向かって結果を伝えた。
「グイファさんは男ではありませんでした」
呆れたように少し顔を横に振るカイレン。グイファもまだ言い足りない様に眉をひそめたが、諦めたように一度ため息をついた。
「……それで、確認して何が分かるのだ?」
「分かるというより、いろいろな可能性が否定されました」
「あんな事をしておいて、何も分からなかったんですか」
グイファが少し膨れる。相当恥ずかしかったらしい。
とりあえず、一度息を吐き出す。いろいろ否定されてこれしかなくなった。ありえないと思って、最初から頭の外に除外してしまっていた事実が一つあるのだ。
「グイファさん」
最後に一つ確認したい事があった。彼女がついた嘘について。私の真剣な声にあてられたらしいグイファが居ずまいを正す。
「嘘をつきましたよね? チンインさんが男が苦手だという嘘を」
「?! 嘘だなんて……嘘ではないはず、です」
反応からして推理は当たっていそうだ。グイファが自分の胸の辺りをギュッと掴む。
「では、隠している事を話してください、その話がチンインさんが男が苦手と思う理由に繋がるんでしょう」
「……気付いて、いたのですか」
胸を掴んでいた手が緩んで、下におろされた。観念したようだ。
「話します、でもこの話は関係無いと思います、隠したつもりはなくてそう思ったから」
「その思い込みが、今回の騒動に繋がったんですよ」
私は少しイタズラっぽくなるように笑って見せた。




