表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後宮もふもふ事件手帖  作者: 高岩 唯丑
愛があれば

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/90

一つの嘘

「……きっと、という事は見た訳ではないんですよね?」


「それは、そうですが」


 言葉と共に、グイファの勢いが急に萎んでしまう。やはり何かを目撃した訳ではないらしい。その割に自信がある様だったが。


「どうしてそう考えるのか、その根拠は何ですか?」


 少しゆっくりと問いかける。もしかしたら興奮しているのかもしれない。何かを知っていて、チンインの為に早く伝えなければと、気持ちだけが先走っているのかもしれない。


「チンインは」


 なぜかグイファが、迷う様に言葉を続ける。何か隠しているような風にも見えるが、今は追及などせずに話を聞いておこう。


「後宮の外に抜け出したりしていません、私達いつも一緒にいたのでわかります……それに」


 一度言葉を切る。少し心の臓の脈打ちが早まった。やっぱり何か隠しているのか。


「チンインは男が苦手でした……なので自分から男に身を預ける事はしないはずです」


「それらの理由から、チンインは忍び込んだ男に乱暴された、と」


 確かめる様に口を出すと、カイレンがこちらに顔を向ける。とりあえずグイファの言動はそれで説明できるだろう。私はカイレンに頷いて見せた。


 だが気になる事はある。グイファは嘘をついた。男が苦手という言葉を出したところで、嘘の匂いがしたのだ。でもいつも一緒にいたというのは、本当の様である。


「……わかりました」


 今嘘に関して問い詰めても、上手くいきそうにない。私自身が考えが上手くまとめられていない。一旦、考えを整理しなければ。


「私が殺すのは諦めます、だから男を絶対に捕まえて罰してください!」


 男が忍び込んでチンインに乱暴した。それを信じて疑っていない、という言葉の強さだ。それゆえに一部だけの嘘が際立って違和感だった。


「……努力しよう」


 無難なカイレンの言葉に、グイファは若干不満そうな表情を浮かべる。それでも納得するしかないというのは分かっているようで、頭を下げた後その場を去っていった。


「どうだ?」


 グイファの背中を見送りながら、カイレンが問いかけてくる。


「どちらの者の事ですか?」


「二人ともだ」


 まぁそうだろう。チンインと、計らずとも関係が深そうなグイファから話が聞けた。この妊娠騒動の中心はこの二人の様な気がする。男もいるが、そちらを追うより解決に近そうな気がした。ただ、一度に気になる事が出てきたせいで、考えがまとまっていない。


「一度、考えをまとめさせてください」


「わかった」


 カイレンがそう口にして、ヨウズデンのある方向に向かって歩き出す。私はその背中について歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ