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後宮もふもふ事件手帖  作者: 高岩 唯丑
愛があれば

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そんなの成立しない

「子供の父親は帝ですか?」


 なんの反応もない。改めて脈打つ事もなく、心の臓は落ち着きを取り戻しつつある。相手が帝ではない、という可能性が高いと考えていいだろう。


「相手の方と会う時はあなたは後宮からこっそり出たのですか?」


 可能性は低いと思っていたが、やはり反応はない。ならば逆という事だ。


「では相手が後宮に忍び込んできたのですね?」


 反応が、ない。どういう事だ。チンインが出ていないなら、入ってきていなければ成立しない。私はチンインの視界に入るように、寝台に片膝を乗せて体を乗り出す。


「聞いていましたか? 相手が後宮に忍び込んだ、そうですね?」


 目が合った。心が病んでいる風でもない。こちらの言葉は届いている。そう確信できる。それでも反応が無いのだ。


「……失礼しました」


 こちらが取り乱してしまっては意味がない。寝台から降りて元の位置に戻ってそう口にする。落ち着きを取り戻すために一度息を吐き出して、チンインを見つめた。


 落ち着いて考えてみる。反応を見る限り、どちらでもないという事。だがそれでは、誰とも会っていないという事になってしまう。誰とも会っていないという事は、妊娠するような行為もできない。


「……本当に、妊娠してるんですか?」


 ついそんな言葉を漏らしてしまった。だが誰とも会っていないなら、そうなってしまう。


「……してる」


 私の言葉に反応したチンインがそう漏らす。それから、こちらをしっかりとした瞳で見据えて言葉を続ける。


「つわりもあった、月の物もずっと来ていない、お腹だって少し膨らんできてる」


「そう、ですか」


 嘘をついていなかった。嘘の匂いがしない。それらの妊娠の症状が出ているのは確かだという事だ。


「チンインを診た医官も、妊娠していると考えていいと言っていた」


 カイレンの言葉に頷いて返す。さっき聞いた話だ。


 これはいったいどうなっているんだ。男に会いに行ってもいない、会いに来た訳でもない。帝も相手ではない。だが妊娠はしている。そんなの成立していない。どれかが間違いでなければおかしい。でなければ一人で妊娠したことになってしまう。


「あ……いや、まだ可能性は、あるか」


 ふと落ちてきた思いつきに、ついそんな言葉が漏れてしまう。ありえないが、それでもまだありえる話だ。思いついた内容を、思い切って口にしてみる。


「……相手は、最初から後宮の中にいたのですか?」


「なに、それでは、帝が相手という事に」


 驚いた様子でカイレンが口をはさんでくる。だがその言葉は最後まで続く事は無く、途中で途切れてしまった。私が驚いていた事に気付いて、カイレンも続けて気付いたのだ。チンインが鋭い眼光を、こちらに向けた。敵意をむき出しにした表情だ。

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