よく考えたら
私もメイユーも言い訳を口にするが、それを聞いてもミンズーは、怒りが収まらない様だった。というより叩く力が強くなった気がする。
「まぁ当たり前だわな!」
「はい、自分達だけ逃げようとして」
実のところよくわかっていない風のユンの言葉に、チュウが同意して言葉を重ねる。それを聞いてミンズーの攻撃が止まった。
「二人も! 同罪なんだからね! 偉そうにしないで!」
ミンズーの声に、ユンもチュウも反省したように縮こまる。そう。この場にいた四人が、それぞれ一個づつ月餅を摘まみ食いしていたのだ。そして何事もない態度を取っていた。何という図太い人たちだろう。
「でも、メイユー様は加えて犯行をもみ消そうと策を弄していた訳ですし、より罪深いです」
「ちょ、シャオグー! あなただって、自分の事を棚に上げて推理してたじゃない!」
「二人とも同罪! 反省!」
私達の言い合いに、すかさず口をはさむミンズー。ここで反論しても屁理屈になるだけだ。甘んじて罪を受け入れよう。私もメイユーも体を縮こませる。
「ぴっ」
「ん?」
突然の悲鳴にも似た声に、混乱してしまいそうになる。誰の声か一瞬分からなかったが、ミンズーから発せられたようだ。しかもなぜだか、そのまま固まっている。どうしたんだろう。
「え? ミンズー? どうしたのかしら?」
さすがに唐突すぎて、メイユーは驚きを隠せないという感じだった。ユンもチュウも同じ反応だ。こちらに視線を送られても、私だって同じである。
「あれ? カイレン様?」
カイレンの足音が遠くの方で聞こえていた。もしかしてミンズーは、これに反応してこうなってしまったのだろうか。
そうしている内に、カイレンの足音が近づいてくる。ミンズーは止まったまま、小刻みに震え始めた。やっぱりカイレンに反応している。
「こここここの話は終わりで!」
ミンズーの唐突な終了宣言。意味が分からない。どういう事か。そんな風に問い返す間もなく、カイレンが姿を見せて口を開いた。
「どうしたのだ? みんなして」
とりあえず無視する訳にもいかず、代表してメイユーが答える。
「ちょっと……月餅」
「あぁぁっ、いやぁぁ、あのぉぉ」
メイユーの言葉を遮って、ミンズーが声をあげた。おや。なんでこんな反応を。
「カイレン! 気にしないで! 気にしない」
ミンズーがカイレンの目の前に瞬間移動したように見えた。それぐらい素早い動きをしていた。
「? なんだ? 何をだ?」
カイレンも混乱している様だ。
「今朝……あっ」
ミンズーが小声で何かを言いかけて、すぐにやめる。普通なら聞こえない声だったが、私なら聞こえる。もしかして私に聞かれてしまう事を嫌がったのだろうか。
今まで自分の罪から逃れる事ばかりに気を取られていたが、よく考えたらミンズーのあの言葉は。




