一騎打ち
「四つあった月餅を一つ食べた、残りは三つだった、そして月餅はなくなったと聞いて、チュウが全部食べてしまったと思ってしまった、だから三つも食べてしまうなんてと口にした、違いますか?」
「ああああなの、えっとだな、あぁぁのう」
やっと自分のミスを理解したようだった。ユンは目を泳がせながら、二、三歩後ずさる。しかし、後ずさった先にミンズーが立っていた。どこまでいってもミスをする人だ。
「あ、な、た、も食べたんだね!」
その声に反応してユンが、しまったという顔で振り返った。ミンズーはちょうど目の前まで来たユンを、両手でポカポカと叩き始める。
「悪い! 悪かった! つい! つい食べちまって!」
ユンならミンズーの攻撃など避けるか、腕を掴んで止められるだろうに。それをしないのは、甘んじて罰を受けるという姿勢に他ならないだろう。しっかり反省しているようで、何よりである。
「もぉっ、チュウさんもユンも!」
「まぁまぁ、謝っているんだし、許してあげて、ミンズー」
メイユーが笑顔を浮かべてミンズーの両肩に手を置いた。自分の事を棚に上げて、何という人だ。まぁこれで、私も罪を逃れられる。ミンズーは二人が犯人という衝撃で数に関しては、頭から抜けている様だし、一安心である。
チュウとユンに視線を送る。この二人がこれ以上、余計な事を何も言わなければいいだけだ。そう思ったが、チュウが何かを考えているような素振りを見せる。さすがに気づいてしまうか。
「待ってください!」
チュウが声をあげる。ここで止めた所で、完全に怪しいだけである。
「私は一つしか食べてません、ユンは一つですよね?」
いきなり水を向けられたユンが、勢いよく顔を縦に振る。それを見てチュウがさらに続けた。
「四つあったんですよね? あと二つの行方が分かりませんよ!」
ミンズーがハッとした顔でこちらを見る。なんでこっちに顔を向けるのか。最初からメイユーを除外しているような反応だ。メイユーもこれを想定していたのだろう。だからこそのあの自信と態度だった。
そのメイユーと視線が合う。ミンズーを挟んでその後ろに立っている。また勝ち誇ったような表情だった。私を生贄にして、終わりにする気らしい。こうなるとミンズーは決定的な証拠を提示しないと、メイユーを疑いもしない。何かないだろうか。疑う要素はあったが、犯行を自白する様な発言は無かったし、物的証拠ももちろんない。
でもこうなったらしょうがない。一か八かぶつけてみよう。




