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マホロバのモノノフ   作者: しふぞー
第二章 降り積もる罪と責
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時代が変わる時

 時は流れ、年度末の日。三月三十一日。

 俺は長い春休みの朝をいつも通りニュースを見て過ごしていた。滑里の一件と芦屋が鞍馬党を襲撃した件で俺は社会にどれだけ情報が流れているかを体感するために朝と夕のニュースを見るようにしているのだ。


『今年のGリーグもついに開幕、まず一番話題となったのは昨年七曜杯準決勝で激突したグラフィティ洛都と七代紫泉が今年のリーグ戦の開幕戦で再び激突しました。なんと結果は33-4で七代紫泉がリベンジを果たしました』


 速報で見た。試合内容も点差通り圧倒的でネット上では「俺たちのグラフが帰って来た!」「これでこそ洛都のお笑い球団だ!」など大騒ぎになっていた。

 俺も正直笑った。


『国防海軍とガイストマフトとの合同演習が七代基地で行われました。最新型浮遊戦艦との連携を高め、軍事行動を繰り返すヴィクター軍に対して同盟の連携をアピールする形になります』


 これも聞いた。ガイストマフトの前身が真秀海軍に一千万で挑んで五千に殲滅され、五千万の大軍を引っ張り出したにも関わらず三万で木端微塵に破られた屈辱の地で演習するってどんな気分なんだろうか。

 まあ万年単位の昔なんだけどさ。

 こうして色々なニュースが流れる中いきなりたくさんの通知が手元の通信端末に届く。送ってきているのは師匠とモミジだ。


「何何何」


 二人共中身は一緒だ。チャンネルを国際チャンネルにあわせろとな?

 テレビのチャンネルをギャラクシー標準語の国際チャンネルに合わせる。

 するとそこに写っているのは古い劇場の中心で演説する、一人の男。


「オービタルのメガロポリス、イクリール劇場?」

『世界に安寧をもたらしたギャラクシーはとうに、過去のそ存在である』

「あっ…」


 その声を聞いて俺の手から通信端末が落ちた。画面の中で身振り手振りをしながら演説する星宙の髪と瞳。まるで魂のそこから湧き上がるような感覚がする。


『ここに、ギャラクシーの滅亡を宣言する』

「天の…帝…」


 かつて世界を統一したギャラクシーはその存在が失われてから5000年以上が経った。それでもなお誰が後継か、その存在感は実体を失ってなお大きい。それを継ぐに最もふさわしいのにもかかわらず自ら捨て去るとは本当に恐れ入る。

 俺は端末を拾って師匠と通信を繋げる。ノータイムでつながった。俺は興奮のあまり食い気味に繋がったかどうかという状態からまくし立ててしまう。


「俺です!あの!」

『見てる。天帝陛下だ…』

『その意思は、確かに紡がれている。だがこの灯を絶やさんとする者たちは、他人を排斥することさえ厭わない』


 劇場で演説する男に憧れて、あの人に追いつきたくてここまでやってきた。

 かつては隣に並び立つことが叶わなかった。このために必死に戦い続けてきた。けれどその差はさらに広がってしまった。


「遠いなあ…」

『たとえ滅ぶ定めであるとしても、あくまで意思を守る。アニムスの結成をここに宣言する』

『乗るか?お前と閃也次第だ』


 映像の中で隣に立つ同じ背丈の男が天帝の紋章をあしらった新しい紋章を映す。アニムスという組織のマークのようだ。

 同じく天文台に所属するモミジからも同じ意図の連絡が届く。彼の天文台はまともな戦力がおらず、観測基地や資料保管室としてしか活動していないがそれでも選択しなくてはならない。


「様子を…見ましょう。でも、俺は最終的には乗るべきだと思います」

『同意する』


 齢18歳にして世界に最も影響を与える男の姿は燦然と輝いて見えた。

 この演説は後に「ギャラクシー滅亡宣言」と呼ばれ、歴史の一ページに刻まれた。

 願わくば、いつかこのような大立ち回りをしてみたいものだ。



 

 世界が揺れ動く中、摂家の当主たちはそれぞれ示し合わせたかのように時間をずらし、そして誰にも見つかることなく音羽飛鳥の元に参じる。

 有美党討伐の日に皆盃を掲げて、もう一度ここに弔うように。

 真秀の安寧をそれぞれの形で誓った。




 そして4月7日。桜の花びらが風に乗った桜吹雪の下。

 修導館学園高等部。俺は白を基調に緑のラインが入ったブレザーの制服を着て門をくぐる。修導館では世代ごとに色が定まっている。今年だと一年が緑で二年が青で三年が赤。去年度卒業した世代が緑と三色で一周するのだ。

 今日は三館の入学式。今日から俺達は高校生になった。


「やっぱり制服には慣れねぇな」

「ふん、一応さまにはなっているじゃない」


 中学まで私服だったので慣れない制服でぎこちない拓也といつも通り素直になれない文香。特に待ち合わせしていたわけではないがここで出会うのもまた運命か。


「おはよう、二人共。制服似合っていると思うよ」

「そうか?ありがと」

「ちょっ!そのっ!」


 真逆の反応をする二人に俺の後ろにいた二人も挨拶をする。

 千沙希と雪乃も同じ白を基調とした制服を着ている。

 これから五人で通うのだ。


「じゃ、行こうか」

「ああ、頼むぜ新入生総代!」

「やめてくれよ…割と緊張してるんだ」

「おいマジかよ」


 千沙希がすると思っていたんだがどうやら総代は外部組から選ぶという決まりらしい。内部進学の千沙希が総代になることはない。

 じゃあどうやって選ぶのか?それは入試の高得点者。その上にある推薦入試と特待生である。

 後者になるほど優先される。そして今年の特待生は俺と雪乃の二人なわけだが雪乃に務まるわけがない。かつて彼岸からの留学生にやらせて失敗した例が過去幾度もあるそうだし。


「ま、俺は出来る限りのことをやるだけさ」


 五人でこれからの学園生活に胸を弾ませながら横に並んで桜並木を進んでいく。

 そう、みんながいれば心配はいらないのだ。

ちょこっと登場人物紹介


天帝 「約束ガチ勢」


5万年ぐらい前の先祖の約束を律儀に果たし、今もなお交わした約束は必ず守る約束ガチ勢である。かつてマホロバ最大の厄災と言われた彼岸に封印されていた「奈落のオロチ」を見事打倒して連れて帰って自宅でペットとして飼っている。

一体何リスさんなんでしょうね。


宰相 「就任翌日の大仕事」


多分本作最初で最後になる予定の出番が終わった天帝の右腕。かつては天帝を暗殺するべく様々な技術を身に付けたがいつの間にかナンバーツーの席に座っていた。

天帝親衛隊の総隊長であり代々伝わる奥義「顔面発光」と「目からビーム」の正統後継者。接近して目つぶししてから指向性が高く命中精度も高いコンボは初見での回避は困難で在原香澄も引っかかった。武器が持ち込めず身動きが取れない中での戦闘も多い宮中では顔面だけで使える技が重宝されていた名残である。

一体アクなんちゃらさんなんでしょうね。

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