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僕の彼女は吸血鬼  作者: 広瀬愛
2/2

2話

2話になります!

拙い文章ですがよろしくお願いします!

二話 

 目覚めた時、最初に見たのは明れた天井だった。

ご丁寧に掛け布団までかけてくれたヨルに感謝しよう。寝る原因を作ったのもヨルだったが。


 布団から出ると最初に目に入ったのは机の上に置かれた刀と手紙だった。


「手紙書く時間があるなら話していけよ…」


 いつもの事ながら予測がつかない行動をするヨルに毒突きながら手紙を開く。

「肌身離さずもち歩くこと!」と一言だけ書かれた手紙を置くと、机に置かれた刀を見る。


 紅色の鞘に入った刀。柄は鈍色に輝き、白い紐で装飾された刀はひどく目立つ。

長さは1mほどで持ち歩くには少し無理があるものだった。


(そういえば、2、3日は起きないと言ってたな…)


ヨルに言われたことを思い出しスマホを見ると、そこには春休み初日から3日経過した日付が表示されていた。バイト先からの着信も。


「やっべぇ…。 バイト行かなきゃじゃん」


とりあえずバイトに行こうと立ち上がると準備をはじめる。

着替えると刀を見つめる。 どう見ても鞄には収まりそうにない。


(肌身離さずとは書いてあったけど…)


持ち歩くのを諦め家を出た。


 バイト先までは車で約15分。三階建てのビルの二階に入った爬虫類専門店「レプレ」 ビル横の駐車場に車を停め階段を登ると緑の看板が下げられたドアをくぐる。

 中に入るとモワッとした熱気が身体を包む。


「遅刻だぞゴラァ!」

「ごめんってママ」

「ママって呼ぶな!お前を産んだ覚えはねぇぞ!」


 爬虫類専門店「レプレ」店長、間々原モモカ。通称ママ。暗めの茶髪を巻いたセミロング、童顔に大きめの丸メガネ、身長は小さめだが出るところは出ている所謂トランジスタグラマーだが見た目に似合わず口は悪い。


「一昨日も無断欠勤しやがって。私1人で全部やったんだぞ!」

「ごめんって。ヨルに変なもの飲ませれて寝てたんだよ。」

「あぁ?ノロケかよ!休むなら連絡くらいしろよな」


 会話しながら荷物を置き、今日の分の仕事を確認する。


「で、今回は何食べさせられたん? 前回はバロットだったっけ?」

「前はそれですね。見た目の割に味はそーでもなかったっすよ。今回は…血?」

「血?ブラッドソーセージみたいなやつか?」

「まあ、そんな感じです」


 瓶に入った血だと言わず言葉を濁す。言っても問題ないとは思うが変に誤解されるのは避けたかった。

 バケツに入ったコオロギにカルシウムの粉をまぶし、壁一面に並んだケースと向き合う。


「表に並んでる子達からでいいですか?」

「おう。裏のベイビーたちも任せていいか?」

「大丈夫です。終わったら表にいますね。」


 お互いに声をかけながら作業に移る。「レプレ」は主にトカゲモドキとゲッコーを扱っており、ハカリはトカゲモドキを担当していた。

 流行りの感染症によって需要が増したペット業界で、比較的飼いやすい爬虫類はそこそこ売れた。

 あまり手はかからないが500匹近くいると流石に世話にも時間がかかり、ブームもあって客足が増えたところでキャパオーバーになった店に冷やかしで尋ねたのがバイトのきっかけだった。

 週3勤務、20:00〜24:00営業で時給1250円。1日あたり5000円。

 破格の待遇というわけでもないが悪いわけでもない。元々暇を持て余していたハカリには丁度いい条件だった。


「今日は飯食ってくか?」

「いただきます。今日はなんですか?」

「今日はカレーだ!」


 夜食付き、上の階に住む店長は夜ご飯までご馳走してくれる。「学生は遠慮すんなよ!」と強制的に食べさせられるのだが。

 年頃の男を部屋に連れ込むのは問題があると思うのだが、店長は気にしない。


 黙々と業務をこなし、営業時間が終わると店長の部屋へとお邪魔する。

カレーを温める店長を横目に皿やスプーンを用意する。どこにあるか把握できるくらいにはお邪魔していた。


 出来上がった山盛りのカレーをテーブルへと運ぶ。2人でいつもの席へと座ると、お互いに手を合わせ食べ始める。


「今更やけど、ヨルちゃんはよかったん?帰ってきとるんやろ?」

「あー、どうなんですかね。 起きた時にはいなかったんで大丈夫だと思いますけど。」

「彼女のことなのにわからんのかい!」


 お互い話しながら食べ進める。 部屋に置いてきた刀の事を思い出し店長に質問する。


「ママ、ゴルフクラブが入るくらいのバッグとか余ってないですか?」

「ママって呼ぶな! ゴルフクラブ? ちょっと待てよ…」


 食事を止め、寝室へと移動する店長。流石にないかと思いながら食べ進めるハカリ。

  

「バットケースならあったぞ。これでいいか?」

「えぇ…。 なんでバットケースがあるんですか。」

「知らん。 使うなら持ってっていいぞ。」

「じゃあ、ありがたく借りときます。」


黒いバットケースを受け取り、お礼を言うと食事に戻る。

先に食べ終わるとシンクに食器を入れ洗い始める。カレーが入っていた鍋を先に洗う。


「バットケースなんてなんにつかうんだ? これもよろしく~」

「ヨルから貰ったものいれるんですよ。」

「貰ったもん?何貰ったん?」

「あー…。まあ棒みたいなもんですよ。」

「ふーん。そっか。」


気にはなっているみたいだがそれ以上は聞いてはこなかった。

会話しながら洗い物も終え、帰り支度をする。


「晩御飯ありがとうございました。ケースも借りていきますね。」

「おう。気をつけてかえれよー。」

「はい。じゃあ、お疲れ様です。」

「おつかれー!明後日は休むなよ!」


挨拶をかわし、部屋を出る。

ビルをでて駐車場の方に行くと、車の前に人影があった。




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