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僕の彼女は吸血鬼  作者: 広瀬愛
1/2

血を飲んだら吸血鬼になったので彼女を探して暴れ回ります。

初めての投稿で拙い部分が多いですが暖かく見守ってもらえると嬉しいです!


僕の彼女、桜井ヨルから荷物が届いたのは大学2年生の春休み初日のことだった。

中には瓶と手紙。 瓶には緩衝材が巻かれており、中身は黒い液体のようにしか見えなかった。


「また変なもの送ってきたな…」


 思わずこぼれた一言に苦笑するしかなかった。

僕の彼女、桜井ヨルは自他共に認める変人だった。 彼女とは高校生の時からの付き合いだが、知らないことも多く変わった所もあるが、僕には魅力的すぎた。

 透き通るような白い肌に、黒く艶のある髪、少しキツイ目元を左目の泣きぼくろが中和していた。これで白いワンピースでも着ていればどこのお嬢様かと勘違いするのだが、よくきていたのは観光地で売ってあるような地名入りのTシャツだった。


「私がどこにいるか、すぐわかるでしょう?」

と、なぜご当地Tシャツを着るのかと尋ねた僕に答えた笑顔がすごく綺麗だったのは言うまでもない。

 センスは0点、見た目は100点。 まわりの知人が声を揃えてくだす評価が間違ってると言えないくらいセンスはない彼女。そんな彼女が送ってきた荷物。警戒せざるを得ない荷物。


 とりあえず手紙の方から読もうと思い手紙を見る。 赤い便箋に入った手紙を取り出すと、そこにはただ一言「飲め!」と書いてあった。


「マジかよ…」


 薄々予想はしていたが確認せざるを得なかった。

 とりあえず緩衝材を剥がし、瓶の中身をまじまじと見るが何かが沈んでいるようには見えず、剥がす前よりやや赤みがったようにしか見えなかった。

 

「血か?」


 蓋を開けて香ってきた匂いは錆のような血の匂いだった。 


(誰のとも分からない血を飲めと…)


 1ℓ程の血液らしき液体。飲めと一言だけ書かれた手紙。普通では間違いなく飲まない。


 だが躊躇ったのは一瞬だった。


 瓶を両手で抱えると口へと当てて飲む。飲む。

約1ℓの血液の一気飲み。ただただ口の中に広がる鉄の味に血で間違いないなと思いながら飲み干した。


 中身の無くなった瓶を見下ろしながら口の中の不快感に眉を寄せると、口直しするために台所へと向かう。

 水を飲むと口の中の不快感はおさまったが、胃の中にある異物のような感覚は消えず顔を顰めた。


 手に持ったコップを置き部屋へ戻ろうと振り返ると、そこには彼女、ヨルが立っていた。


「全部飲んだの?」


驚いたように瓶を指差しながら問いかけるヨルに、驚いたのはこっちだと内心思いながら少し間をおき肯定すると。


「そっか。 じゃあ2、3日は起き上がれないと思うけどこれからよろしくね?」


「……は?」


満面の笑みでそう告げたヨルに困惑しながら問いかけようとした時に異変は起きた。

視界が暗転し立っていられないほどの眩暈を感じ、床に倒れる。


「お布団まで運んであげるね〜」


浮遊感を感じながら軽い口調でそんなこと言うヨルに困惑し、体を包む灼熱感に思考力を奪われる。


「ここに必要なものは置いていくからあとはよろしくね〜」


何がよろしくなのか、何を置いていくのか、そんなまとまらないことを考えながら、僕、梶原ハカリの意識は落ちていった。


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