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7月9日(3)
それから、時が過ぎ、私は大学生になった。
普通だったら、希望する大学に入ることを、「夢が叶った」というのだろうが、
私は違った。
ついに、実家を出て一人暮らしをスタートさせることができたのだ。
木造、六畳ワンルームという小さな部屋だったが、私は満足だった。
自分のものしかなく、許可しなければ誰も入ってこない。
玄関の扉さえ、私のものなのだ。
嬉しくって嬉しくって、写真を撮っては、眺めていた。
大学は、ほどほどに頑張った。
単位を落とさないように、上手にサボった。
バイトも始めた。
自分で稼いだお金で、何かを買う。
こんなことが、できるような年になったのだと、感動した。
そして、就職。
あっという間だった。
特に、就きたい仕事もこれといってなかった。
周りのみんなに合わせて、なんとなく、教員の試験を受けた。
そして、働き先が決まった。
別に、嬉しくもなかった。
ただ、自分で生活できるお金を稼ぐことができればいい。
自立した生活を守る、安定したお金を・・・。