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迎え火  作者: 八重
3/6

7月9日(2)


私は、大学から、実家を出て一人暮らしを始めた。

将来、なんの仕事につきたいか。そんなことどうでもよかった。

ただ、自立した生活を送りたい。それだけだった。


小学生の頃から、一人暮らしに憧れ、

どうにかして、その夢を叶えることができないかと考えていた。

秘密基地を作って、そこで暮らすことができないか、

段ボールの中で、一人暮らすことはできないか、そんな叶いもしない空想を描いては

実行しようと、準備をしたものだ。

まぁ。結局は、父が心配するからという理由で、門限までには帰って

一人父の帰りを待っていた。


家は、父子家庭だ。

母は、私が小学2年生のときに、家を出て行ったきりだ。

ヒステリックな母親だった。


カッとなると、もう止められない。

最終的に、何が引き金になったのか、こっちも忘れてしまうくらい

あんなこともあった、こんなこともあったと

いろんな過去を引っ張り出して、私を責め立てる。

うんざりして、違う部屋に移動しても、着いてきて、永遠と話を聞かされる。

毎日のように、怒られていた。


ある日、車の中で母のヒステリックスイッチが入った。

適当に、言い返していると、母は私に言った。


「あんたを、車に乗せてると、このままつっこみたくなる。」


強烈な一言だった。

実の母親に、殺したくなると言われたのだ。

当時の私は、ポカーンとするしかなかった。


いくら記憶を辿っても、鮮明に残っている母との思い出は、

それくらいだ。

私は、母が大嫌いだった。

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