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兵士とAIの異世界帰還録  作者: 古河新後
1章 仁義と破壊の魔王
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第43話 呪われし者

「アハハハ!」


 『人型強化装甲“飛行型”』を駆使するドレイクはディザロアを挑発するように嗤っていた。

 ディザロアは宙を動き回るドレイクを捉えようと魔剣(オーバーデス)を振るう。


「降りてこい! ドレイク!」

「嫌よ♪ でも、そろそろ戦ってはアゲル♪」


 ドレイクは『ルルベルの釜』を守護していた騎馬連隊が退却時に放棄した武器をモニターで捉える。


「『磁界制御(アイゼンマリオネット)』♪」


 ドレイクが手をかざすと主を失った剣、槍、矢が浮かび、集まり始めた。


「この鎧はとっても凄いよね♪ これで、ロアお姉ちゃんの大切なモノを壊そうと思ったんだけどサ。流石に『竜の魔王』の領地に単独では行けなかったよ♪」

「だから……こんな事を起こしたのか?!」

「そうだよ♪ 『竜の魔王』は確実に殺せるハズだったんだけど、咄嗟に振り向いてさぁ。心臓外しちゃった♪」


 歴戦の勘かな? と、ドレイクは不思議そうに首をかしげる。


「けど、今度は失敗しないよ♪ ようやく、ロアお姉ちゃんと再会出来たんだから」

「私もだ……ここで確実にオーベロンの仇を討つ!」

「アハ♪」


 ドレイクの回りに浮く無数の剣と槍がディザロアへ向かって放たれる。


「『オーバーデス』!」


 魔剣を両手で持ち、己の呪いをのせた斬撃を振り放つ。

 それは受けたモノを呪うだけでは無く、衝撃波となって飛来する物質を吹き飛ばした。


「アハハ! 凄い凄い!」


 しかし、それだけではなく放たれた呪いはディザロアの意思に従うようにドレイクに纏わりつき、濃度を高めるとその動きを拘束する。


「おっと♪」

「終わりだ!」


 呪魂を強め魔剣の攻撃距離を伸ばす。

 しかし、剣を救い上げる様に踏み込んだ時、足に刺痛が走った。


「!? ッ――」


 矢が飛来し、足に刺さっていた。思わずドレイクの拘束を解いてしまう。


「ダメだよ、油断したら♪ 回りの武器は全部わたしのモノなんだからサ」


 まるで鳥が集まるようにドレイクの回りに武器が舞う。


「サークルソード」


 次々に剣がディザロアに飛来した。ディザロアは魔剣を振り、再び散らすが今度は即座に戻り、そのまま四方から襲いかかる。


「くっ!」


 弾くにしても数が多すぎる。武器は肩や膝を掠め、急所は狙っていないようだった。


「遊びのつもりか?! ドレイク!」

「そうだよ♪ だってお姉ちゃんは死にたくないでしょ? わたしもお姉ちゃんは殺したくない。利害の一致♪」

「ふざけるなぁ!!」


 ディザロアは更に呪魂を解放。彼女を中心に地面が少しずつ“呪”へ侵食されていく。


「あぁ……いい。いいよ、お姉ちゃん♪ もっと、もっと世界を呪って! アハハハ!」

「コロス……」


 ディザロアの顔は“呪”が形を成した様に表情が見えない程に黒く染まって行く。



 


 

「ぐおぁ?!」


 『衝撃装甲』“解放”をまともに受けたダーレンの『魔装甲』は吹き飛び、胸部の装甲が破損。

 格納していた『ルルベルの釜』が転がった。

 淡く光る『ルルベルの釜』は夜闇の中、異様な存在感を放つ。


『大尉、標的(ターゲット)です』


 『ルルベルの釜』は長方形のルービックキューブの様な造形をしている。それが生きているかのように、パーツが絶えず動いていた。


「あれか。釜って言うよりは箱に近いな」


 ファウストは起き上がり回収に移る。しかし、ソレを阻止するように他の『魔装甲』が割り込んだ。


「行かせるかよ!」

「行かせろ!」


 『雷の魔装甲』を駆使するネロはファウストと近接戦闘へもつれ込む。

 その間に『風の魔装甲』を装着した部隊長のレイアはダーレンへ駆け寄った。


「ダーレン様!」

「ぬう……抜かったわ!」


 衝撃に対して高い耐性を持たせていたが、その許容を越える一撃を受けるとは思わなかった。


「なにが平和維持だ。ノート、貴様の兵器は十分に人を殺せるわ!」

「ダーレン様。ここは殿下だけでも退却を」

「レイア! 貴様、私に意見するつもりか?!」


 まだ、ファウストを仕留めきれてない。それどころか、手痛い反撃を貰ったのだ。

 このまま退くと言うことは、『人型強化装甲(アサルトフレーム)』に劣っていると認める様なものだ。


「ダーレン様、貴方の代わりは誰も居ません。ここで何よりも優先することは『ルルベルの釜』でも『楔』でもなく、殿下の帰還です」


 共和国『ヴォルスティン』はダーレンの持つ技術と魔法が合わさったことで北の大陸への侵入を可能とした。


「『魔装甲』こそ、我々の未来にして真髄。私達が貴方様の敵を完膚なきまでに叩き伏せ、証明いたします」

「……ふん! 好き放題言いよって!」


 ダーレンは立ち上がると『ルルベルの釜』を拾い上げる。


「ヤツを始末し全員で帰還しろ。そうでなければ私の技術が劣ると言うことになる」

「ハッ! 必ずや!」


 ダーレンは自らの『魔装甲』に搭載した飛行形態を発動する。

 形状が若干変化し小さな風の魔法陣が随所に現れるとその姿を緩慢ながら浮かせた。


「ファウスト! そこで大人しく死んで居れ!」

「飛べんのかよ?!」


 ファウストは『魔装甲』の形状から飛行する様な装備(ユニット)は搭載していないと判断していた。


「貴様の常識など、ここでは役に立たぬわ!」


 その手には『ルルベルの釜』。持ち出される事に良い予感はしない。

 ダーレンは少しずつ速度を出しながら高度を上げていく。


「逃げんなよ!」


 ファウストは『衝撃装甲』を掌に指定し、ネロを吹き飛ばす。しかし『魔装甲』の耐久力の前には下がらせるだけで精一杯。


 しかし、そのまま助走しネロを踏み台して飛び上がるとダーレンの脚に手を伸ばす。

 だが、僅かに届かず無情にも手は空を切った。


「フッ」


  ダーレンは落ちていくファウストを鼻で笑うと十分な高度に到達。そのまま国境へと飛行していく。

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