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兵士とAIの異世界帰還録  作者: 古河新後
1章 仁義と破壊の魔王
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第42話 『人型強化装甲』VS『魔装甲』

 夜のバーキ遺跡群での戦闘は双方共に激しさを増していく。


「解放しろ!」


 ダーレンの号令に『魔装甲』を装備した五人の背後に魔法陣が現れる。

 各々がファウストへ攻撃を仕掛けた。


『回避行動を』

「いや、迎え討つぞ!」


 敵の陣形を解析仕切れていないアリスは被弾を避ける動きを提唱するが、ファウストはあえて踏み込む事で解析を早める選択を取る。


「お前も『魔装甲』か!」


 『雷の魔装甲』を装着者――ネロは魔法陣の作用によって自らを帯電していく。


「スネークボルト!」


 溜まった雷は、うねるよう形を変えると弾けるような音と衝撃がファウストを襲う。


「こっちの方がわかりやすい!」


 ファウストは『人型強化装甲(アサルトフレーム)』の避雷性能で正面から受けつつ、ネロへ接近戦闘を仕掛ける。


「遅せぇ!」


 ネロは更に帯電を強めると、雷の密度を上げ、正面に三本の雷の矢を形成する。


「サンダーアロー!」


 雷の矢が飛ぶと同時にファウストへ着弾――


「呆気ねぇ――!?」


 ファウストは身体を反らし脚部の推進バーニアで滑るようにサンダーアローをかわしていた。

 見てから避けられるモノではない。アリスによる発射予測が限りなく高精度である故に成功した回避である。


「チィ!」


 ネロは近接の威力を上げる方へ出力をシフト。しかし、その切り替えの間を逃すファウストではない。


「『段階加速(フィジカルブースト)』」


 スライディングから、バーニアを停止。再度最高出力で一瞬だけ噴射することで跳ね上がり、更に空中で前方向へのバーニアを瞬時に起動する。

 速度を落とさずの接近。『人型強化装甲』の高い練度が可能とする動きである。


「『衝撃装甲』指定(オーダー)脚部(レッグ)


 速度の乗ったファウストの飛び膝蹴りにネロは帯電した拳を合わせる。

 互いに破壊を優先した一撃。軍配が上がったのはファウストだった。


「ぐぉ!?」


 拳が弾かれ、ネロは大きく仰け反る。

 ファウストは着地すると指定を両拳に設定し、追撃を――


「!? またか!」


 空気の拳に殴られた。

 ネロと距離が空いた事で他の『魔装甲』も戦いに割り込んでくる。


「ヒートレイン」


 火の玉が降り注ぎ、ファウストは回避行動を取ろうとするが地面が軟泥と化す。


『来ます』

「ダーツ」


 次に音速で飛んできた水の玉をファウストは屈んでかわした。

 発射位置を見ると距離を置いて『水の魔装甲』が背後の魔法陣から水を生成している。


「今のは受けられねぇな」

「バイト」


 次に軟泥の地面が流動し、ファウストを飲み込む様に動く。


「指定、身体」


 完全に拘束される前に『衝撃装甲』にて辺りに散らした。


「エアハンマー」


 しかし、見えない空気の拳に再度、吹き飛ばされる。


「良い連携しやがる!」


 思わず敵を称賛する。これは完全に仕留められる流れだ。


「フールー」


 熱によって地面が渇き、風によって舞い上がる砂煙がファウストの視界を潰すよう回転する。


「アリス、振動検知」


 周囲の特定の振動から視界を塞がれても敵の位置を明確にする。

 五方向に囲まれている――


「エレメントクラッシュ」


 竜巻の砂が炎に変わり、水弾、雷の矢、泥の拘束が同時に襲いかかる。

 敵の配置からアリスはファウストの危機を瞬時に判断。『TSO』を起動する。


「稼働時間を記録しろ」

『了解』


 サンダーアローを受け、周囲に雷を散らした衝撃で泥を払う。水弾を避け、手に閃光手榴弾を持ち炸裂させた。


「何だ?!」


 囲んでいる『魔装甲』の五人はファウストを注視していた為にまともに閃光を受ける。僅かな間、視界を奪われた。


「よぉ、ダーレン」


 その間にファウストは炎の竜巻を抜け、『TSO』を解除。ダーレンを肉薄する。


「ふん! 少しはやるようだな!」


 ダーレンは向かってくるファウストに臆する事無く、背に魔法陣を展開した。


「指定、(フィスト)

「ブレイクブロー!」


 衝撃と破壊の衝突。双方の拳は互いにぶつかり合い、逃げ場を失った衝撃波が辺りに散る。


「その程度か?!」


 ダーレンはファウストの肩を掴むと、軽々と持ち上げ、勢い良く地面に叩きつける。


「死ね!」

「お前がな」


 ファウストは持ち上げられた際に『衝撃装甲』“解放”を起動。叩きつけられた衝撃をダーレンへと向ける。


「ぐおぁ?!」


 『魔装甲』の耐久値を越える一撃を受け、ダーレンは吹き飛ぶ。

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