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第十七話 カンポでの第八との遭遇

ダンス「ねえ……ユーラ!……。」


ユーラ「……もう、駄目……今まで楽しかったよ……。」


ダンス「どうしよ!ユーラが死んじゃう!」


デーモン「バナナ食えなくて死んだ奴なんていねえよ。」


ジャッジ「ねえ、見えてきたよー!」


 大樹が並ぶ森を抜け、四人は小さな街についた。デーモンが街の看板を確認する。


「よし、カンポに到着だ。いったん買い出しにするか?」


 言いデーモンが振り返ると、既にそこには誰も居なかった。


「……まじかよ。」


------------------------

カンポの商店

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「おじさん!バナナちょうだい!」


「ねえやめてよ、なんかうちらも恥ずかしいじゃん。」


 ユーラは店に入り次第店員にギラギラとした目でバナナを求める。そんなユーラをダンスとジャッジは遠目に見ていた。


「そういえば、ジャッジってハーピィなんでしょ?腕の翼どうなってんの?」


 ユーラはジャッジに気になっていたことを投げかけた。ジャッジは異世界人の事件で呪いに掛かったふりをし、羽をたたんでいた。今も上半身がビキニ姿という特異な格好はしているものの、腕は普通の少女と大差ないすらっと健康的な形をしている。


「すごい頑張って人間化してる。いちよう魔力を使って人間の姿になることはできるんだよ。」


「へー、変な体だね。」


「あんたにだけは言われたくないよ。」


 そんな話をしていると、商店の奥にある休憩スペースで、もはや見慣れた鎧の兵士たちが談笑しているのが見えた。


「ねえ、あれ、帝国の人たちだよね?」


 ジャッジがダンスに耳打ちをする。ダンスも休憩スペースの方を確認すると、肩に八の文字が書かれた兵士たちの姿。ダンスは苦虫を噛みつぶしたような顔をした。


「げっ、あいつら第八じゃん。なんでこんなとこに……。」


「第八?あいつらはこの前の人たちとは違うってこと?」


「うん……ごめんジャッジ、私もうこの店出るね、あいつらに見つかったら面倒になるかも……。」


 ダンスにとって、第八は嫌な思い出でしかない。ダンスはにこにこでバナナを買うユーラをよそに、そそくさと店を出た。ちょうどその頃、デーモンも第八の影に遭遇していた。


「おいおい、ここ最近帝国との巡りあわせが良すぎねえか?」


 ダンスは店の裏側に回り込み、深呼吸をする。手や足がぷるぷると震えており、カンジワリでの出来事がよっぽどのトラウマになっていることが見て取れる。


「ふう。」


「まったく、鎧はやっぱり駄目ですね。こうやって怯える国民が出てしまう。」


 ダンスは背中に氷を入れられたような感覚を覚える。ダンスが恐る恐る横を見ると、白衣を着た男性が隣に立っていた。その丸い耳が頭に付いた男性は、敬語口調で独り言のように呟く。


「しかし、信じ難くも偶然は起こるものですね。まさかこんなとこで盗品(あなた)を見つけることが出来るとは思いませんでしたよ。」


 ダンスは反射的に距離をとり、びくびくと怯えながら後ずさる。


「……。まさか。」


「申し遅れました。私は祭壇(エラ)、第八騎士団の第一研究室長を、任されております。」


 ダンスは汗をだらだらと流し座り込む。しかし、この光景はどこか異常ともとれた。一人の敵が目の前に立っている。しかし、立っているだけである。にもかかわらず、ダンスの怯え方があまりにも異常なのだ。まるで、目の前の人物以外の何かに怯えてるかのように。


------------------------


「……。ダンス大丈夫かな?どこ行ったの?」


 ジャッジはダンスの様子が気になり、店のユーラをすっぽかして店の外に出てきていた。いなくなったダンスを探すためジャッジは店の近くをぐるぐる回る。そして、店の裏を覗いたとき。


「ちょっと!ダンス!?」


 そこでジャッジが目撃したのは、腹を抱えて倒れ込むダンスと、それを静観するエラの姿だった。エラはジャッジの声に丸い獣耳をぴくぴく動かし振り返る。


「おや、お仲間ですか。」


------------------------


 その頃、買い物を終えバナナとその他の食糧や旅用品を買いそろえたユーラはご機嫌な表情で店の中を見渡す。


「あれ?ダンス?ジャッジ?違う店行っちゃった?」


 しかし、店の中には店員しかいない。


「まあいっか。あ、おじさん!そこの椅子と机使っていい?」


 ユーラはそう言いながら、“無人”の休憩スペースを指さした。


------------------------


「ダンス!」


 ジャッジはダンスに向かって走り出す。それを遮るようにして立つエアは、白衣の中からメスを取り出した。


「あなたは死んでもいいんですよ。」


 そういうとエアは迫るジャッジにメスを振るう。しかし、ジャッジはそれを紙一重で回避し流れるようにダンスのもとまでたどり着く。


「……急所狙ったのですが。」


 ジャッジは魔力で抑えていた手足を開放する。すると、腕は大きな翼に、足は鋭い猛禽類の足へと変化する。そのままダンスを足で掴み、大きな翼を広げ空を飛ぶ。


「ハーピィでしたか……まあ、たかが知れてます。」


 そうつぶやくと、エラは白衣からピストルを取り出し、ジャッジの急所目掛けて発砲する。しかし、それもジャッジによってすれすれのところで回避される。


「……わざとぎりぎりのところで避けてますね。意外と手強いようです。」


 エラは深呼吸を行い、もう一度ピストルを構える。無機質な目がジャッジを貫く。


「次は、そんな風には行きませんよ。」


 その後、ピストルの引き金が引かれ放たれた弾丸に、空飛ぶジャッジは目を疑った。ピストルから飛び出したのは、大きな翼を広げ、鋭い牙をむき出しにした紅のドラゴンだったのだ。


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