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第十六話 次の国のまだ見ぬ仲間

「それでだ。俺たちには足りないものがある。それはなんだ?」


 そんなデーモンの問いに、苦笑いを浮かべたジャッジが答える。


「んー、方向性の一致?」


「それは安心しろ、足りないどころか無いが問題はない。」


 元気よくダンスが答える。


「はいはい!リーダー!まとめ役!」


「あそこの脳筋ゴリラがその役じゃないのか?俺たちはそこから始まんのか?」


 やる気なさそうにユーラが答える。


「…………バナナ。」


「デーモン隊長!ユーラが燃料切れです。」


「ああもう!なんか大人しいと思ったらこいつ……ほっとけ!」


 デーモンは頭を掻きながら提言を始める。


「いいか?俺たちに足りないもの……それは一言で中だ!」


ダンス→無

ユーラ→小

ジャッジ→大


ジャッジ・ダンス「「デーモン隊長、それはいくら何でもセクハラです。」」


デーモン「そういうこと言ってんじゃねーよはっ倒すぞ?」


ジャッジ「デーモン隊長、押し倒すなんていくらそんな……


デーモン「中核、中枢、緩衝材。俺たちの衝突を中立の立場から抑えたり、戦闘・外行動メインの俺たちをサポートする内側での仕事をこなせる人材が欲しい。」


ユーラ「だめだ……バナナが無くて力が……


ダンス「ってなると、職業的には医者?とか?」


デーモン「そうだ、医者がこのましいが、そんな奴いるか分からん。だからざっくりと医療従事者的なやつを探すとして話を進める。」


 デーモンは地図を開き机に広げる。


「森を抜けた先にある隣国、ルーレンシア王国を目指す。」


 帝国の北に位置する国を指さすデーモンに、先程ボケを拾ってもらえなかった恥ずかしさを紛らわすためジャッジが質問する。


「なんでルーレンシア?」


「理由は二つ。そもそも、ルーレンシアは古くから様々な製薬技術が根づく医療大国だ。病院のレベルもさることながら、国民もあらゆる医療知識に精通している。ルーレンシアで怪我しても民家に行けば治ると言われる程にな。」


 デーモンは次に、デーモンが一番最近こなした仕事の依頼者リストを机に出した。


「二つ目は、俺の勘だが、近々ルーレンシアでよくないことが起こる。内戦、戦争、何かは知らねえが、その混乱で不満を持つ国民が目立つはずだ。」


「よくないこと……デビィらしい考え方ね。」


 ジャッジは苦笑いを浮かべる。


「とりあえず、準備しろ。一週間は帰らねえからな。」


-----------------------

その頃 ルーレンシア大国にて

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「ねね見てください!姫様!ガマの油がこんなとこにも売ってますよ!」


紅葉(もみじ)。ここでは私のこと桜と呼びなさい?」


「あ、も、申し訳ございません。」


 ルーレンシア大通り。ユニコーンの角や白蛇の抜け殻など、世界から集まった珍しい品々が目白押しに並ぶ観光名所である。ここは観光名所さることながら、医者や学者、薬屋などの珍しい物品を仕入れようとする人々も訪れるため、平日休日関係なく賑わっている。


その中を、とある女性二人組が歩いていた。片方はミニスカートくらいの長さしかない丈が短い浴衣を着ており、もう片方は革ジャンにホットパンツといったワイルドな服装に身を包んでいる。


「おもしろいですね、妖国にはない品々がたくさん。」


「ええ、旅を始めた甲斐があるってものかしら。」


 自信を桜と呼称するように言いつけていた革ジャンの女性、彼女の露出した太ももには、とあるエンブレムを通した青い紐が結びつけられていた。


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第十騎士団の基地にて

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「いくらなんでも早すぎませんか?」


「ええ、まるで、もともとルーレンシアで何かが起こることを予見していたかのように……。」


 団長室にて、恐山と女性が帝国への不信感をあらわにしていた。森の事件の時も恐山と近い距離にいたこの女性の通称(コード)はアンドロメダ。その名が冠す通り、その女性の顔やスタイルは整っており、長い金髪がよく映える。


 彼女の地位は第十騎士団の副団長。団長としての仕事に不慣れな恐山を帝国が考慮し、彼女を傍に任命任させたことからも帝国軍きっての秀才であることが見て取れる。もっとも、恐山の想像以上の仕事ぶりに彼女は既に教育係的な立場には居ないようだが。


「ねえ、そんなに嫌なら私が変わってあげようか?」


 恐山とアンドロメダの耳に、あまり聞き馴れない女の声が聞こえてくる。恐山はそこにいた人物に声を掛けた。


天蠍(スコピウス)、なんでここに?」


「やっほー、恐山とアンちゃん久しぶり。出張がてらの挨拶よ。」


 恐山の部屋のドアに片手をつけて寄りかかる。そこに居たのは、グラマラスな体を白衣に包む、第八騎士団の団長の姿だった。


「……何が目的ですか?」


 スコピウスは口角を上げにやりと笑う。


「別に?新人団長の負担を少しでも減らそうと思って。」


 胡散臭くそう語るスコピウスに、アンドロメダは一歩前に歩み寄り問い詰める。


「あなたの企みにロクなことはない。本当の目的を教えてください。」


「ふふふ、ばれてる?でもね?『惑星』が出動する時点で惨劇は確定事項、それを観察するのが戦士(あなた達)か学者(わたし達)ってだけの違いよ?その観察の機会を分けてくれないかしら?」


 スコピウスの提案はいくら拒否しても無駄である。それを恐山は良く知っていたし、何より恐山も『惑星』に同行するのは嫌だった。


「はあ、私達が行くのもあなたに行かせるのも不本意です。騎士会に掛け合って下さい。」


「団長!いいんですか?」


 驚いたアンドロメダの問いに、恐山はスコピウスの方を向いて答えた。


「確かに、『惑星』が行く時点で我々は飾りにしかなりません。それに、ルーレンシアは薬の國、あなたが行くべきというのも一理あります。」


「ふふん、おっけー。」


 スコピウスは満足したように団長室を後にする。その誰もいない廊下での表情は、おぞましくも艶っぽい満面の笑みだった。


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